2020 Fiscal Year Research-status Report
ニューロフィードバックが高齢者の認知機能に及ぼす効果の解明
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17K01474
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
山口 哲生 東邦大学, 医学部, 講師 (70464592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 美弥子 東邦大学, 医学部, 教授 (50256658)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニューロフィードバック / 高齢者 / ワーキングメモリ / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、健常高齢者を対象にα波からβ波の振幅を強化、θ波の振幅を抑制するニューロフィードバックが認知機能のうち、特にワーキングメモリに及ぼす効果を検討した。2020年度は、新型コロナウィルス(covid-19)の影響により、高齢者を対象としたデータの収集が困難であったため、データ解析を中心に行った。ニューロフィードバックによる介入の前後で、①簡易型認知機能検査(MMSE)、②「ワーキングメモリ」、「実行機能」、「注意」、「エピソード記憶」を測定する認知テストバッテリーを実施し、その得点を比較した。また、介入前後の脳波の変化を調べた。ウィルコクソンの順位和検定の結果、θ波とβ1波の比率が有意に減少することが示された(p=0.028)。また、ワーキングメモリの得点増加に有意傾向が示された(p=0.079)。次に、参加者ごとの結果を検討するために信頼変化指標(Reliable change index; RCI)を算出した(Jacobson & Traux,1991)。介入前後の得点差をもとに算出するRCI値は、その絶対値が±1.96よりも大きければ、5%水準で2つの得点間に有意な変化が生じたことを示す。その結果、θ波およびθ波とβ1波の比率が有意に減少すること、また、ワーキングメモリの得点が有意に増加することが示された。これらの結果は、これまでの結果と同様に、θ波の抑制がワーキングメモリの向上に寄与する可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウィルス(covid-19)の影響により、高齢者を対象としたデータの収集が困難であったため、研究実施期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き2021年度も新型コロナウィルス(covid-19)の影響を受けることが予想されるが、高齢者のワクチン接種等の状況を見ながら、データ収集等を進めていきたい。また、これまでに得られたデータの解析および学会発表、論文化を進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス(covid-19)の影響により、予定していた学会出張が行えなかったため、交付額と支出額の間に差異が生じた。次年度は、国内の学会出張を複数回予定しているので、そちらで使用する計画である。また、本研究の結果を論文化する際に必要となる英文校閲やオープンアクセスの雑誌に投稿する際の掲載料に使用する。
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