2018 Fiscal Year Research-status Report
速筋線維を標的とした短期間・低強度レジスタンストレーニング法の開発
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17K01530
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
菅原 仁 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (90613290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
只野 ちがや 東邦大学, 医学部, 講師 (40261094)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遠心性収縮 / 力発揮率 / 神経性活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者や脳卒中片麻痺例では速筋線維に萎縮が起こりやすく,フレイル予防や運動機能の改善から速筋線維の筋力トレーニングが重要となる.また,速筋線維は歩行や日常生活に使われるため,最大筋力だけでなく,強く速く力を発揮する能力である力発揮率(rate of force development:RFD)を向上させる必要があり,評価指標として重要である.そこで,30年度は高齢者と脳卒中片麻痺例における低強度の筋力トレーニング(遠心性収縮)と皮膚冷刺激の効果を明らかにすることを目的に研究を行った.高齢者(n=24)と脳卒中片麻痺例(n=6)を対象として6週間のトレーニングを実施した.筋力トレーニングでは自重を使った負荷とし低強度で実施した.トルクマシーンを使ってRFDを測定する場合が多いが,高齢者では測定が難しい.そのため,容易な測定方法が必要であり,本実験では床反力計を使ってRFDを測定した.荷重位での測定であり,高齢者でも動作の実施が簡単であり,正確に実施できる.低強度筋力トレーニングの結果,皮膚冷刺激群では,最大筋力とRFDを増大できることが明らかとなった.この低強度筋力トレーニングでは疲労感が少なく,遠心性収縮による遅発性筋痛もなく実施することができた.また,床反力計を使ったRFDの測定では,再現性のある結果を得ることができ,効果判定に用いることができることがわかった.RFDは神経性活動の興奮性や筋スティッフネスを反映している.本研究は6週間の短期的なトレーニングであることから,低強度筋力トレーニング(皮膚冷刺激付加した遠心性収縮)は神経性活動の興奮性変化による効果であると示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は,高齢者や脳卒中片麻痺例に対して皮膚冷刺激を付加した低強度筋力トレーニングの効果を明らかにすることである.高齢者における検証の結果,低強度の遠心性収縮運動や皮膚冷刺激付加した運動は,短期間かつ低強度のトレーニングでも速筋線維の動員を促すことが判明した.脳卒中片麻痺例のデータ収集にやや時間を要しているが,トレーニングの成果を得ることができているためである.
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Strategy for Future Research Activity |
30年度に引き続き,短期間(6週間)かつ低強度のトレーニング方法の効果検証を行う.さらに,低強度トレーニングによる転倒予防効果も併せて検証する.具体的には,高齢者と脳卒中片麻痺例に短期間の低強度トレーニングを実施し,筋機能(最大筋力,力発揮率)と平衡機能,活動別バランス信頼度スケールを使って調査する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,30年度の論文投稿における採択時の投稿料となる予定であったが再投稿となった.そのため,次年度使用額として論文投稿料(オープンアクセス)に充てる予定である.また,30年度は病院でのデータ収集のため,被験者謝金が必要なかったが,31年度は大学でのデータ収集があり,被験者謝金にも使用する. 31年度の使用計画は、病院でのデータ収集と併せて大学でのデータ収集を行うため,被験者謝金と保険加入費に多くを充てる予定である.また,筋電図測定のための消耗品費購入に使用する.
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