2017 Fiscal Year Research-status Report
マッスルインバランスに誘導される股関節恒常性破綻機構の解明
Project/Area Number |
17K01548
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小澤 淳也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (00435059)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マッスルインバランス / 股関節 / 運動 / 関節恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットの股関節屈筋を選択的に弱化させることで筋力不均衡(マッスルインバランス)を誘導し、股関節恒常性の影響を調査すること、さらに筋力不均衡下での走行運動の影響の調査を目的とした。 股関節の形成に関して、未成熟を示すY字軟骨存在下では機械的負荷に対する感受性が高い。そこで、予備実験として4-10週齢の雄性ウィスターラットの寛骨を採取し、アルシアンブルーで軟骨を染色し、骨閉鎖の時期を同定した。その結果、4、6週齢では明瞭であったY字軟骨は8週齢で不明瞭であったことから、軟骨が骨に置換されたと判断し、8週齢ラットを使用することとした。 本実験では、ラットの右股関節屈筋の一つである腸骨筋に、2U /kgBWのボツリヌストキシン(BTX)を4週毎に計2回投与してマッスルインバランスを誘導した(BTX群)。運動との併用効果を調べるため、BTXを投与した動物の一部にはトレッドミル走行(15 m/min、10分×5回、5日/週)を行った(BTX+走行群)。対照群は無処置とした。最初のBTX投与から8週後、ラットの大腿骨を採取して骨形態を測定した。大腿骨長は対照群で41.6±0.6 mm(右)に対し、BTX群は41.3±1.6 mm vs. 39.3±0.5 mm(右 vs. 左)、BTX+走行群は38.5±0.4 mm vs. 38.2±0.6 mm(右 vs. 左)であった。頚体角は対照群では132±4.7°(右)に対し、BTX群は128±6°vs. 133±6°(右 vs. 左)、BTX+走行群は134±6°vs. 137±3°(右 vs. 左)であった。大腿骨と寛骨は組織学的解析に使用するため、4%パラフォルムアルデヒドで固定し、脱灰、パラフィン包埋を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、研究実績の概要に記載した内容に加え、小動物用三次元動作解析装置を用いてBTX投与に伴う動作の変化を定量評価する予定であった。しかし、現時点で歩行動作の撮影は終了しているものの、股関節機能の変化を示す股関節可動域、最大・最少屈曲角度の算出が終了していない。さらに、大腿骨頭と寛骨臼の組織学的解析にも着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
大腿骨頭及び寛骨臼の組織切片を作製し、サフラニンO染色やtype I 及びtype II collagenの免疫組織化学を行い関節軟骨や関節唇の恒常性への影響を評価する。さらに、様々な筋にBTXを投与(腸骨筋+大腰筋や内転筋群)して多様なマッスルインバランスを誘導し、股関節や膝関節の恒常性に及ぼす影響についても検討する。
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Causes of Carryover |
動物を注文する予算を計上していたが、予定日に実験が行えなくなったため30年度に延期した。
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Research Products
(6 results)