2018 Fiscal Year Research-status Report
マッスルインバランスに誘導される股関節恒常性破綻機構の解明
Project/Area Number |
17K01548
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小澤 淳也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (00435059)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋力低下 / 股関節 / 骨形態 / 動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動器理学療法では、異常な姿勢・運動の繰り返しが微細な組織損傷などの病態を誘発し、症状が出現するという理論に基づいた治療が展開されている。本研究は、筋力低下により生じる股関節の異常な運動が股関節恒常性に影響を与え、最終的に病態を誘発するという仮説の検証を目的としている。前年度は、ラット腸骨筋にボツリヌス毒素(BTX)を投与し、大腿骨・寛骨への影響を評価した。しかし、三次元動作解析による歩行解析において明らかな変化は認められず、大腿骨頭や寛骨臼で検出された形態変化はミクロ・マクロレベルともに僅かであったことから、腸骨筋のみの筋力低下では影響が不十分と判断した。 今年度は、右股関節の腸骨筋に加え、長内転筋、恥骨筋、大内転筋にもBTXを投与することで、より広範な筋力低下を惹起した。その結果、トレッドミル歩行で跛行が確認できる程度に股関節運動異常が出現した。8週間後、組織学的解析のため大腿骨および寛骨を採取し、さらにX線CT像より得た三次元データから大腿骨形態を定量的に分析した。その結果、BTX投与側の大腿骨で、対照群及び反対側と比べ骨幹部の弯曲指標減少、大腿骨頚部及び骨幹部の横径減少、骨幹部の骨皮質面積の減少を認めた。このことから、股関節周囲筋筋力低下が大腿骨形態においてネガティブに作用することが示唆された。一方、股関節疾患の危険因子とされる頚体角や前捻角は対照群、反対側との比較で著明な変化を認めず、予想に反する結果となった仮説となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究結果から、当初の計画より若干の変更を余儀なくされたが、モデルを修正(筋力低下の方法を変更)したことで大腿骨形状において興味深い変化が出現し、研究の進展がみられた。加えて、骨形態の定量評価においてX線CTとポリゴンデータの組み合わせによる分析方法を導入して精度が大きく向上した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、股関節周囲筋の筋力低下により大腿骨形成に変化が生じたメカニズムを解明するため、大腿骨頭と寛骨臼の組織学的解析を行っている。前年度にある程度手法が確立できた形態定量学的手法と併用し、股関節の骨・軟骨代謝を詳細に調査したい。
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Causes of Carryover |
サンプル採取は出来たが組織学的解析まで手が回らず、試薬代が当初の予定ほどかからなかった。また、データが不十分で論文作成にまで至っておらず、英文校正や掲載料といった経費を必要としなかった。今年度は前述した用途に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)