2018 Fiscal Year Research-status Report
滑り転倒現象を再現したトレッドミル上での刺激強度の違いによる転倒回避動作の解析
Project/Area Number |
17K01566
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 康貴 九州大学, 工学研究院, 助教 (00632176)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 元司 九州大学, 工学研究院, 教授 (90202390)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 滑り転倒刺激 / トレッドミル / 転倒リスク / 回避動作 / 可動域 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度では若年者による模擬高齢者を対象とする転倒現象を再現したトレッドミル制御による転倒リスクの評価を行った.どのような人の転倒リスクが高いか評価するために,2017年度の研究では,滑り転倒時の回避動作に基づいた手法を行っている.この手法では,被験者の身体機能の一部を制限した上で,滑り転倒実験を行うと,その条件で転倒する被験者と転倒回避する被験者に分かれることを報告している.このことから,一つの身体機能の制限により転倒する被験者は転倒回避する被験者よりも運動機能が低下していることが考えられる.そのため,本研究では,高齢者による転倒リスクの評価を実施する前段階として,一つの身体機能の制限により転倒する被験者を模擬高齢者として定義し,模擬高齢者による転倒リスクの評価を実施した.転倒リスクを評価する手法として,被験者の転倒回避時のCOM位置に対するCOM速度が安定境界値とどれだけ差が存在するかで安定性を評価する.この安定境界値はPaiらが,あるCOMの位置からCOMを支持基底面上に移動可能なCOM初速度を,シミュレーションして算出しているものを参考にした.ここでの安定性の低さとは,COMの位置に対する速度が安定境界値からどれだけ低いかであり,これは回避動作中の被験者の転びやすさを表すと考えられる.その結果,可動域を制限することで転倒した被験者である模擬高齢者においては,若年者と比べて安定性が低いことが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度では,高齢者による転倒リスクの評価を実施する前段階として,一つの身体機能の制限により転倒する被験者を模擬高齢者として定義し,模擬高齢者による転倒リスクの評価を実施した.転倒リスクの評価指標の構築などで計画から一部修正する内容はあったが,おおむね順調に研究を遂行した.また,研究を遂行する中で,可動域の拘束に基づいた転倒刺激実験の結果から分類した異なる転倒回避戦略をもつとされる被験者の安定性にそれぞれ差があることを確認することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,若年者と可動域などを制限した若年者による模擬高齢者を対象として,トレッドミルの左右ベルトの速度差を用いた滑り転倒刺激実験を行う.また,回避動作に基づいた転倒リスクの評価指標として,回避動作時の力学モデルを新たに構築し,そのモデルに基づいた安定性の評価を行う.特に2019年度では,2018年度において股関節の可動域を制限した若年者による模擬高齢者を対象とした実験であったため、その他の関節を制限した若年者による模擬高齢者での滑り転倒実験を実施し,安定性の評価を行う.また,安定性の評価では,2018年度においてCOMを用いた安定性の評価指標であったため,その他の指標を用いた安定性の評価を行う.
|
Causes of Carryover |
2018年度に行っていた、滑り転倒刺激実験から得られた安定性の評価に関するデータのまとめの中で、安定性の評価指標を再検討しなくてはいけない新たな知見「転倒回避動作戦略が異なる被験者では滑り転倒時のCOMが異なる」を得られた。そのため、評価指標を導出するための被験者による実験のプロトコルを再検討し、被験者による再実験の時間が当初計画より必要になった。
|
Research Products
(11 results)