2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a stress assessment system in daily situations using non-contact IoT sensor module
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17K01597
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
五十嵐 朗 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (10570632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 拓世 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (40582862)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自律神経調節機能 / 非接触計測 / IoTセンサ / ストレスチェック / 脈波 |
Outline of Annual Research Achievements |
RGBカラー画像を用いた非接触計測で得られる生体情報(脈拍数および呼吸数)と温湿度や照度などの環境条件を複合センシング可能な「非接触計測型IoT(Internet of Things)センサモジュール」の開発を目指して,以下の検討および実験を行った。 シングルボードコンピュータを用いたRGB画像データからの生体信号の抽出処理については,現在容易に入手可能なシングルボードコンピュータの仕様調査を行い,各種シングルボードコンピュータの購入とその動作確認にとどまった。また,シングルボードコンピュータ以外にも通常のディスクトップパソコンと同等の性能・拡張性を持つカード型コンピュータも入手し,その動作確認を行った。OSとしてWindows10をインストール可能なことから接続可能なRGBカメラの機種の多さ、ソフトウェア移植の容易性等からカード型コンピュータの採用も並行して検討を進めることとした。 また作業性ストレスを課して,RGBカラー画像から抽出した脈波成分の時系列データの変化について検討を行った。健常成人5名を対象に作業性ストレスとして、タッチパネルディスプレイ上のランダムな位置に表示されるマーカーを順番に押していくタスクを課した。ストレス評価の指標としては,α-アドレナリン作動性の末梢交感神経活動を間接的に良く反映する指標である基準化脈波容積(NPV)を左手第2指指尖部に反射型光センサを装着して測定した。その結果,安静時とストレス負荷時のNPVの平均値の変化と同様に,RGBカラー画像から抽出した脈波成分の平均値がストレス負荷時に有意に減少していた。 以上より,抽出した脈波成分の時系列データを使用することで自律神経機能調節の評価が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シングルボードコンピュータは、IoT技術の急速な普及により様々な特徴を持つ機種が次々と発売されている。当初はソフトウェア開発環境の優位性からRaspberry Piの採用を検討していたが、より性能が向上したRaspberry Piとも互換性のあるシングルボードコンピュータやカード型コンピュータも登場してきた。それらの新しい機種の仕様調査等に時間をかけたために、シングルボードコンピュータの機種選定に遅れが生じてしまった。その結果として、シングルボードコンピュータを用いたRGB画像データからの生体信号の抽出処理法に関する項目に開発遅れが生じている。 また自律神経機能調節の評価に関しては、シングルボードコンピュータによる抽出処理の開発遅れにより、Kinectセンサによる計測データをもとにパーソナルコンピュータ上に構築済の評価環境を用いて検討を進めている。これまでに非侵襲的に末梢交感神経活動を評価出来るNPVとの比較を行い、作業性ストレスを課すことにより抽出した脈波成分の平均値が、安静時のそれと比較して優位に減少することが示唆されるデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,機種選定の遅れにより開発が遅れているシングルボードコンピュータを用いたRGB画像データからの生体信号の抽出処理に関して、Kinectセンサにより計測・記録済みの動画データを活用し、パーソナルコンピュータ上で動作検証を行うことで開発スピードのアップを図る。さらに、パーソナルコンピュータ上で開発したソフトウェアが容易にシングルボードコンピュータ環境に移植可能となるようなシステム構築を進め、温湿度や照度などの環境条件も同時に収集できるIoTセンサモジュールとしての試作を行う。9軸センサモジュールを用いた補助センサの試作に関しては、至適な装着位置を検討して試作を行う。 また、脈波成分の時系列データからの自律神経調節機能の評価法に関しては,非侵襲計測法であるNPVとの比較だけでなく、ストレスの生理学的な評価法の1つである唾液中のコルチゾール濃度との比較実験を行うことで評価方法の検証を進める。さらに被験者に課す作業性ストレスに関しても、実際のオフィスでの作業に近いかたちのものを検討する。
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Causes of Carryover |
シングルボードコンピュータ等の電子回路部品の購入は、今年度内に予定通りにほぼ予算執行した。しかし,シングルボードコンピュータの機種選定の遅れにより,シングルボードコンピュータの開発環境およびソフトウェア開発用コンピュータの購入のための設備備品費分が次年度持ち越しとなり,次年度使用額が発生した。 次年度は,シングルボードコンピュータ上でのRGBカラー画像データからの生体信号の抽出処理法の検討を本格的に行うために、ソフトウェア開発用コンピュータやソフトウェア開発環境等の整備を行う。また、唾液中のコルチゾール濃度との比較実験を行うための評価キット等の医療用具・試薬類を購入する。それ以外の経費としては、研究成果発表のための学会参加費および論文投稿用費用などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)