2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a stress assessment system in daily situations using non-contact IoT sensor module
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17K01597
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
五十嵐 朗 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (10570632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 拓世 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (40582862)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自律神経調節機能 / 非接触計測 / IoTセンサ / ストレスチェック / 脈波 / 呼吸波形 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、IoTセンサとクラウドサーバを利用した自律神経機能の評価システムを構築する予定であった。しかし、IoTセンサのエッジコンピューティング化を進めるにあたり、リアルタイム脈波抽出処理の構築に工数がかかり、前年度と異なるストレスを負荷した際の脈波成分の変化と解析点数の長さについての検討を行うにとどまった。 健常成人5名を対象として行ったカラーワード課題では、これまでの作業性ストレス負荷での反応と異なり、抽出した脈波成分の平均値が増加した。これは、カラーワード課題では心拍出量は増加するが、末梢血管抵抗値に明確な変化が起きないことから、表在血管の血流量が増えたことで平均値が増加したと思われる。したがって、ストレスの種類を判別できる可能性が示唆された。一方、解析点数の長さについては、指尖部の光電容積脈波の時系列データを用いて検討を行った。評価指標として基準化脈波容積とLF/HFを用いてカラーワード課題による検証を行い、基準化脈波容積は解析点数の長さを短くしても区間全体で解析した結果と同様な結果を示した。日常生活下で想定しうるストレス負荷での評価を継続して検討する必要がある。 補助センサについては、健常成人2名を対象として左鎖骨下近傍の衣服の上と体表面上に6軸センサモジュールを装着し、両者のカルマンフィルタによる演算出力波形を同時比較した。その結果、一般的なワイシャツに装着しても体表面に装着した場合と同様な時系列波形が得られ、衣服の上であっても呼吸数の測定が可能なことが示唆された。また、呼吸停止時の波形を詳細に観察するために心電図、心音図、電気的インピーダンス法との波形比較を行ったところ、6軸センサモジュールから得られる波形は心拍動に伴う心弾動図の波形を反転したものに類似していた。衣服の上からも心拍数の可能であり、呼吸計測と合わせることで心機能評価を行える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述したようにIoTセンサのエッジコンピューティング化を進めるにあたり、脈波のリアルタイム抽出処理に開発遅れが生じている。GPU搭載の小型ボードを使用する予定で、演算処理も抽出した脈波成分の平均値がストレス負荷の種類により異なる反応を示すこともわかり、演算処理を簡略化できると思われる。したがって、ストレス負荷の種類を脈波成分の平均値の変化パターンで判別できる可能性も示唆され、さらなるデータ蓄積が必要となった。補助センサに関しては、衣服の上に装着しても呼吸数と心拍数の計測が可能なことが確認でき、実使用環境下での評価が終了し、IoTセンサとシステム統合する段階となった。後述する方策により研究推進を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間の1年延長が認められたことにより、今年度に行うことが出来なかったIoTセンサとクラウドサーバを利用した自律神経機能の評価システムを構築する。IoTセンサに関しては、GPU搭載の小型ボードを使用してエッジコンピューティング化を進め、IoTセンサ側で脈波成分の平均値等の解析に必要なデータのみに絞り込む処理を行う。これによりインターネット上に送信するデータを軽量化し、クラウドサーバ上でのソフトウェア開発工数の削減を図る。 補助センサに関しては、省電力のBluetoothモジュールを用いてワイヤレス化を行い、IoTセンサと連携が可能なシステムを構築する。 クラウドサーバを利用した自律神経機能の評価に関しては、AWSなどのプラットホームが提供するAI/MLサービスやマネージドサービス等を活用することで開発工数の圧縮を図り、自律神経調節機能の評価システムを構築する。
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Causes of Carryover |
クラウドサーバのレンタル費や電子回路部品購入の一部費用が発生しなかったため、もともと2019年度に予定されていた支出内に収まったことにより次年度使用額として発生した。 次年度は、クラウドサーバを利用した自律神経機能の評価を行うため、クラウドサーバのレンタル費用が発生する。また、自律神経機能の評価として、唾液中のコルチゾール濃度との比較実験を行うための評価キット等の医療用具・試薬類を購入する。それ以外の経費としては、研究成果発表のための学会参加旅費および論文投稿費用などに使用する予定である。
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