2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a stress assessment system in daily situations using non-contact IoT sensor module
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17K01597
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
五十嵐 朗 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (10570632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 拓世 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (40582862)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非接触計測 / 自律神経調節機能 / IoTセンサ / ストレスチェック / 脈波 / 呼吸波形 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、IoTセンサとクラウドサーバを利用した自律神経機能の評価システムを構築する予定であった。しかし、リアルタイム脈波抽出処理の構築にあたり、脈波成分の抽出をより効率的に行う必要があり、脈波抽出に用いる関心領域(ROI)の決定手法の検討と行動記録計を用いた長期間データ解析手法に関する検討を行うにとどまった。 脈波抽出に用いるROIの決定手法であるが、従来は四角形のある一定領域としていた。そのため、血流状態の変化をあまり反映しない領域を含んだ状態で抽出処理を行っていた。そこで、血流状態を反映する領域をより効率的に抽出する手法を検討した。カラースケール8bitの輝度差分画像を0から1で正規化し、ある閾値で処理画像に対して2値化処理を行い、閾値を超える輝度差分の総面積を算出し、時系列データを作成した。健常成人4名を被験者として検討を行った結果、多少の個人差はあるが閾値が0.34前後でもっとも抽出面積が最大となった。また、ストレス負荷による変化を従来の手法と比較したところ、より血流変化を反映する結果が得られた。 行動記録計を用いた長期間の解析に関しては、従来から用いられている指標の一つである瞬時脈拍間隔(PPI)の標準偏差(SDNN)を算出し、変動があることを確認した。しかし、SDNNの変動要因が不明確であった。そこで、PPIの平均値と標準偏差、最頻値を時系列データとして1つのグラフにまとめ、比較した。その結果、平均値と最頻値がほぼ同一な日と大きく解離している日がみられた。行動記録メモと照らし合わせたところ、持続した大きな変動がみられると、平均値と最頻値が解離することが分かった。そこで変動期間内をWavelet解析するとストレスを断続的に受けていることが分かった。したがって、PPIの平均値と最頻値が解離した期間を抽出することによって、ストレス評価を行える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IoTセンサのエッジコンピューティング化を進めるにあたり、脈波のリアルタイム抽出処理の改良に遅れが生じている。そこでカラースケール8bitの輝度差分画像を正規化し、閾値による2値化処理を行うことで、脈波を効率的に抽出可能な範囲を絞り込むことが可能となり、演算処理をより簡略化できると思われる。新たに考案した手法を用いて、さらなるデータ蓄積による検証が必要となった。また、長期データの蓄積が社会情勢的に困難であったが、代替案の行動記録計の長期データからストレス評価の特徴点抽出もPPIの平均値と最頻値に差が生じている範囲を検出することで可能であることが確認できたので、後述する方策により研究推進を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間の1年延長が認められたことにより、最終目標であるIoTセンサとクラウドサーバを利用した自律神経機能の評価システムを構築する。IoTセンサモジュールの処理で問題となっていたリアルタイム脈波抽出に関して、新たに考案した前述の抽出手法によりエッジ処理の軽減化とデータ送信量の圧縮を図ることでソフトウェア開発工数を削減する。 クラウドサーバを利用した自律神経機能の評価に関しては、新たに考案した手法を組み込むとともに、開発プラットホームが提供する既存サービスを活用することで開発工数の圧縮を図る。
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Causes of Carryover |
研究開発の遅れに伴い、クラウドサーバのレンタル費などの一部費用が発生しなかったため、もともと2020年度に予定されていた支出内に収まったことにより次年度使用額として発生した。 次年度は、クラウドサーバのレンタル費用、唾液中コルチゾール濃度の評価キット等の医療用具・試薬類を購入する。それ以外の経費としては、研究成果発表のための学会参加旅費および論投稿用費用などに使用する予定である。
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