2017 Fiscal Year Research-status Report
Transnational Paradigm and Entangled History in the Studies of Sport History
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17K01662
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 恵子 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (10273830)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トランスナショナル / 錯綜史 / スポーツ史 / パラダイム |
Outline of Annual Research Achievements |
Joyce Goodman氏の日本講演記録論文、"Transnational Perspective and International Networks of Women's Education"(Tokyo:Aoyama Gakuin University,2016) 及び 同著者による"Circulating Object and (Vernacular)Cosmopolitan objectivities", International journal for the historiography of education: IJHE, 2017, 17-1)の読解を通じて、方法論上の示唆を得た。こうした方法論上の理解の深化を深めつつ、2017年12月5日に“Transnational Paradigm in the Study for Sport and Entangled History”と題する国際セミナー(北海道大学教育学部大会議室)を開催し、そのイントロダクションを担当した。本セミナーでは研究連携者であるCarol Osborne氏を英国リーズ・ベケット大学より招へいし、日英比較を通して、本研究が掲げるトランスナショナルな方法論への接近を試みた。同時にカナダより特任助教として北海道大学に滞在中のTyrel Eskelson氏による東京五輪分析研究を通じて、本セミナーはトランスナショナルな方法論の具体的な可能性を議論する好機となった。なお、成果の一部はまもなく刊行の研究代表者が編集者の一人を務めるMEDIA, SPORT, NATIONALISM:THE RISE OF EAST ASIA(Logos Verlag Berlin, forthcoming June 2018)に,エスケルソン氏の論稿、"Continuity or Change: After the Tokyo Olympic Games 1964: Exploring the Tokyo Games 2020 through various Critical Reviews"と共に、所収の予定である(Keiko Ikeda, "Democracy through the Lens of Sport Journalism: Japan and the East Asian Olympic Games"。加えて本年度は他に関連図書2点と国際論文3点を刊行するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年12月にトランスナショナルなパラダイムとスポーツ史の可能性に関する国際セミナーを主催し、英国およびカナダからの研究者との議論を通じて、国家の枠組みから接近する従来のスポーツ史の方法論における限界点、世界史の盲点を認識する必要性を再確認した。とりわけオリンピックレガシーを巡る世界的議論は恰好のケーススタディにあたることがセミナーの中で明らかになった。トランスナショナルなパラダイムを意識したケーススタディは本年刊行の図書の所収論文として公表される。また招へい研究者との間で、良好な研究交流を継続することができている。加えて、次年度における国際学会での公表にも挑み、アブストラクトは年度内に受理された。こうした状況から本研究は初年度として概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本来、新たな論文執筆には新たな方法論的更新がなされるべきであるが、本研究は特にその方法論の有効性について検証することを目的としている。したがって、次年度の国際学会において、ケーススタディを示すだけでなく、いくつかのケーススタディを総じた方法論の有効性をISHPES国際体育スポーツ史学会(ミュンスター大会、ドイツ)にて公表し、さらなる方法論的意義の構築に迫りたいと考える。具体的には以下のタイトルでエントリーを済ませており、抄録は本年3月に受理されている。Keiko Ikeda,“The Possibility of Historical Studies on ‘Bodily Democracy’ towards Recent Arguments on Sustainable Development Studies through Transnational Analysis”。なお、研究の成果は国内外において公表し、同方法論に並ぶ研究者とのネットワークを構築することを通しても、現代的なスポーツ史の方法論の意義を普及する取り組みにもつながるよう工夫したいと考える。
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Research Products
(11 results)