2017 Fiscal Year Research-status Report
教育支援センターにおけるスポーツ指導の実態とガイドライン作成に関する社会学的研究
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17K01718
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松田 恵示 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70239028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 祐一 岡山大学, 教育学研究科, 講師 (80550269)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育支援センター / スポーツ活動 / 指導員の意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、教育支援センター(適応指導教室)のスポーツ活動に着目し、活動の実態を明らかにするとともに、スポーツ活動の位置付け、制度的な側面からスポーツのあり方ないし不登校支援におけるスポーツの意味について検討することを目的とした。 具体的には、東京都の4つの教育支援センターにおける参与観察並びにヒアリング調査を実施した。調査先の教育支援センターにおけるスポーツ活動の位置付けを整理するとともに、得られた語りを事例として解釈分析していくことを試みた。 対象者は、東京都の4箇所の教育委員会の指導主事及び教育支援センターの指導員である。教育委員会の指導主事は、教育支援センターを管轄する立場として、活動体制や内容について指導員と子どものやり取りの様子などを中心に聞き取りをしている。一方、指導員は、直接的に子どもと関わる中で感じること、保護者とのやり取りや指導員同士の繋がり等を中心に聞き取りを行った。また、4箇所のうち、A市教育支援センターとD区教育支援センターの2箇所の教育支援センターで参与観察を行い、体育ないし運動遊びやスポーツ活動の場面を観察し、活動内容や子どもと指導員のやり取り等を記録した。 活動の内容が調査結果としてまとめられるとともに、不登校の子どもたちにとって、「遊び」として「居場所」機能を伴い、他者との出会いをもたらしうる行為であるという意味を持っていることが明らかとなった。しかし、そのこと自体が居場所としての性格を持ち合わせる一方で、「学校復帰」に対してブレーキをかけてしまうものにもなっていることも示唆された。また、スポーツ活動を文化的な活動として位置付ける側面と不登校支援の手段として位置付ける側面が考えられた。そしてそこにはある種の「曖昧さ」が浸透しており、指導員はその「曖昧さ」故に、教育支援センターの内外でスポーツ活動の位置付けや在り方にジレンマを抱えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に計画していた3県でのアンケート調査について、内容の検討に予想以上の時間が必要となったことと、調査対象組織等の準備状況などから平成30年度に先送りすることとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に予定していたアンケート調査は、すでに内容の検討が終了しているために、平成30年度前半において調査を実施する予定。その後、2年目に予定している調査と分析を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
平成29年度に予定していた3箇所(岡山、東京、高知)でのアンケート調査が、内容検討に時間を要してしまったことと、対象地域との調整の中で本年度に実施することになったため。平成30年度に平成29年度のものを実施するために、予定していた使用計画には変更はない。
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