2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Development of Phenomenological Sport Anthropology Research
Project/Area Number |
17K01742
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
石井 隆憲 日本体育大学, スポーツマネジメント学部, 教授 (70184463)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミャンマー / チンロン / スポーツ人類学 / 実践 / 身体感覚 / 身体認識 / 動き方の配列 / 現象学的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に当たり、これまでの資料収集において不十分であった内容についての補充調査と補助的な研究成果の収集を通して、研究全体の総括をおこなった。補充調査については、新型コロナウイルス感染症のため、実際に現地での補充調査はできず、インターネットによるインタビューとなった。また、年度末に最終確認のための連絡をすることになっていたが、ミャンマー情勢が不安定になったこともあり、現地との交信が途絶え、現地に向けたビルマ語による研究成果の発表も見送ることになった。年度当初において研究の枠組みを若干拡大し、これまで本研究の周縁部に位置しながらも、関連が深いと考えられてきた研究成果を収集し、それを本研究の総括に応用するための時間を加えた。 本研究を通して得た知見については、研究者が調査対象なる身体活動の実践を通して知覚した内容を調査対象者に提示して、そこでの認識共有が確認されるものが、現象を引き起こしている中核であると捉えて、ここに焦点を当てながら文化の翻訳を加えて記述することが現象学的な研究を促進させることになるという結論を得た。以上の結論に近づくための新しいスポーツ人類学の研究提案は以下のように整理できる。 (1)スポーツ人類学研究における現象学的な研究の前提として、対象となるスポーツ的な現象の体現者となるべく、これを実践するコミュニティに身を置いて自分自身で体験を行う。(2)体験を基にした「行為の記録」や「身体の動かし方の配列」、「運動の感覚」や「動く感じ」の記録をする。加えて、そのような動きを表象するようなするようなテクニカルタームがあれば、それをもちいた表現を確認する。(3)参与観察によって記述された内容を、複数の実践者との共同議論によって、誰もが認める記述を抽出する。 (4)これをテキストとして文化の翻訳を行いながら最終的な現象学的スポーツ人類学の記述を完成させる。
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