2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K01768
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
黒岩 一雄 常葉大学, 教育学部, 講師 (70779545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 寛之 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00779308)
西平 賀昭 筑波大学, 体育系(名誉教授), 名誉教授 (20156095)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情報処理資源 / 事象関連電位 / 二重課題法 / N140 / P300 / オッドボール課題 / ターゲット追跡速度 / 運動パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は注意処理資源の配分の多寡がパフォーマンスに影響を与えることを確認することができた。平成30年度は、この実験結果をもとに、二重課題の追跡速度を操作することによって、課題困難性を増加させ、それに応じて脳内の注意処理資源の配分とパフォーマンスの関係がどのように変化するかを明らかにするものである。 実験方法は平成29年度と基本的には同様であるが、平成30年度はターゲットラインの移動速度の異なる4条件を設定した。Slow条件ではターゲットラインは0Nから50Nの位置まで15秒間で到達する(一定速度:約0.33cm/sec)。Fast条件では10秒間で到達する(一定速度:約0.5cm/sec)。very fast 条件では5秒間で到達する(一定速度:約1cm/sec)。Rapid 条件では3秒間で到達する(一定速度:約1.66cm/sec)。この追跡速度の異なる4条件によって追跡課題の困難性を操作した。 その結果、平成29年と同様にP300と140電位は体性感覚オッドボール課題単独条件と比較し、2重課題条件において振幅が減少した。また今年度追加した追跡速度の変化であるが、最も速い追跡条件では正確性が低下し、反応時間も遅延した。しかしながら追跡速度の変化はP300電位とN140電位に影響を及ぼさなかった。 これらのことから反応時間に関わる資源とP300電位とN140電位に関係する資源は機能的に異なる可能性があることが示唆された。 今年度の結果からも、ヒトの運動制御に関わる感覚-運動系の情報処理資源には量的限界があり、パフォーマンスを規定していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の実験・分析は、概ね順調に進んでいる。ターゲット追跡課題の速度変化の影響は、運動パフォーマンスには観察されたが、脳内の情報処理過程には観察されなかった。この点に関しては大変興味深い結果である。反応時間に関わる情報資源とP300電位とN140電位に関係する情報資源は機能的に異なる可能性があることが示唆され、今後の脳内情報処理過程のメカニズム解析の一助となることを確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、ターゲットラインの追跡速度を変化させることで、課題の困難性を増加させ、運動パフォーマンスに影響を及ぼすことが確認された(脳内の注意処理資源には変化なし)。平成31年度はターゲットライン追跡速度Slow条件とFast条件それぞれについてターゲットラインがどこで折り返すかの予測可能な条件と予測不可能な条件の2条件を設ける。つまり、課題の困難性をさらに操作し、それに応じて脳内の注意処理資源の配分とパフォーマンスの関係がどのように変化するかを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
代表者・研究分担者が学務により、国際学会に参加できず、旅費を使わなかったため。 今年度は報告書作成費(英訳代金)、実験データ分析用のパソコン、消耗品、旅費等に使用する予定である。
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