2019 Fiscal Year Annual Research Report
Continuous class practice study of the peer education in the health education
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17K01785
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
住田 実 大分大学, 教育学部, 教授 (90136771)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ピア・エデュケーション / 保健科教育 / 食育 / 食教育 / 食教育プログラム / 授業実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、「基盤的研究」として、ピア・エデュケーションをめぐる海外の教育実践について文献研究を実施した。その結果、海外におけるピア・エデュケーションの効果は、例えば、国際協力機構(JICA)の草の根・技術協力事業の実践レポートによれば、「ピア・エデュケーションの学習効果は、思春期の学生の学習意欲や自己効力感の向上のみならず、さらには学生を取り巻く地域住民への波及効果としても好影響をあたえている」といわれ、対象とする「同年代の仲間(若者)同士のみならず、彼らを取り巻く地域の人々にも好影響を与えている」ことが明らかとなった。
次に、海外の動向を踏まえたうえで「実践的研究」として授業研究対象の高校生と児童によるピア・エデュケーションの教材作成並びに授業実践として、教師による「一方通行」の授業では得られないピア・エデュケーションの成果について、高校生・児童の感想文、及び参観教員へのインタビューにより、その教育的成果を検討した。 その結果、当初は「教える側(高校生)」と「学ぶ側(児童)」という立場が固定された関係であったものが、数年後にはその当該児童が高校生となって、今度は「教える側」として児童に指導するという立場の逆転により、「教える」ことで更に「深く学ぶ」ことが出来たという興味深い教育効果が感想文並びに個別のインタビューによって明らかとなった。 一方、児童にとっても、小学校の学校行事の一環として実施される「学年混合型」の食育教室(ピア・エデュケーション)において、高学年児童が「高校生から習った内容」を立場をかえて「低学年児童に教える」という教育活動が生まれることで、小学校においてもピア・エデュケーションの教育効果が明らかとなった。以上の研究結果は、海外における研究内容とは異なる「時間的推移」による児童生徒の成長という観点から、ピア・エデュケーションの教育学的な効果が示唆された。
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