2020 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルネットワーク・インセンティブは地域の身体活動量と社会参加を増やすか?
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17K01810
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
佐藤 真治 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (60529973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 豊彦 大阪産業大学, スポーツ健康学部, 教授 (20454621)
都竹 茂樹 熊本大学, 教授システム学研究センター, 教授 (70467869)
大槻 伸吾 大阪産業大学, スポーツ健康学部, 教授 (90247875)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身体活動量 / ソーシャルネットワーク・インセンティブ / 社会参加 / 高齢者 / インセンティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、熊本市を対象地区として、経済的インセンティブとソーシャルネットワーク・インセンティブ(SNI)の併用が身体活動量を促進できるかどうかを検証した。具体的には、65歳以上の女性39名を無作為に割付し、経済的インセンティブ単独群とSNIに経済的インセンティブを加えたSNI+群に分け、3か月間介入した。その結果、SNI+群は、介入前と比べて介入後に有意に歩数が上がったが(6,195→7,354, p=0.006)、経済的インセンティブ単独群は変化を認めなかった。以上から、地域における身体活動増進の介入として、ソーシャルネットワーク・インセンティブの有効性を確認できた。 以上の成果については、日本循環器学会学術集会(2020年、京都)の「人生100年時代の健康長寿セッション」にて報告する機会をいただき社会的インパクトを残すことができた。加えて、2021年には成果をまとめてBMC Public Health (21:188‐195)に発表した。 また、今年度は、豊岡市を対象地区として、身体活動量と社会参加の関係も明らかにすることができた。ここでは、無作為に抽出された市民2,500名にアンケートを配布し、身体活動量と社会参加を含むソーシャルキャピタルの下位項目について共分散構造分析した。その結果、社会参加は「近所づきあい」や「挨拶」を経て、身体活動量と関係していた。この成果については、「地域住民の身体活動量と社会参加の関係メカニズムの解明」というテーマで健康支援学会学術大会(2021年、つくば市)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の中心的問いである「ソーシャルネットワーク・インセンティブは身体活動量を促進するか?」については熊本市をフィールドにしたランダム化比較試験によって明らかにできた。加えて、その成果をBMC Public Health誌を通じて世界に発信できた。また、もう一つの仮説「ソーシャルネットワーク・インセンティブを活用した身体活動増進は市民の社会参加を増やすか?」については豊岡市のデータを共分散構造分析することで立証できた。2020年度コロナ禍で多くの研究が中断を迫られている中で、このように順調に計画を遂行できたのは、早め早めに研究を進展させたことが功を奏したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究課題における確かな成果について、対象を心不全患者に拡大して検証する。具体的には、心不全患者をランダムにソーシャルネットワーク・インセンティブ群と対照群に分け、3か月間介入をおこなう。メインアウトカムは身体活動量、サブアウトカムは心不全ステージならびに幸福度とする。
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Causes of Carryover |
当初予定されていた熊本での心不全患者を対象にした研究が新型コロナウイルス感染症拡大のため次年度に延期となった。したがって、2021年度は心不全患者の身体活動量を精査するための身体活動量計の購入に当該助成金を使用する計画である。
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Research Products
(5 results)