2022 Fiscal Year Annual Research Report
Involvement of the pancreas-brain-liver inter-organ network and intestinal microbiota in hyper-nutritional fatty liver disease
Project/Area Number |
17K01855
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 教授 (80343359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 准教授 (00423715)
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 講師 (10457624)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵β細胞特異的TNFα過剰発現マウス / 機能性グルカゴンの低下 / インスリン感受性亢進 / 腸内細菌叢 / AVP / 嫌気性代謝亢進 / 肝臓メタボローム解析 / 迷走神経遮断 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞特異的TNFα過剰発現マウス(TNFαTgマウス)の糖尿病、肥満、脂肪肝抵抗性のメカニズムを検討した。1、腸内細菌叢ではFirmicutes/Bacteroides比が高く、特に60%高脂肪食負荷時にはVerrucomicrobiaの増加が特徴的であり、肥満抵抗性、糖尿病抵抗性の一因と考えられた。2、ラ氏島由来のいずれのホルモン(インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン)の産生細胞も形態的に乱れており、インスリン陽性細胞は野生型マウスの27%に、グルカゴン陽性細胞、ソマトスタチン陽性細胞はそれぞれ7%、5%まで低下していたが、血中インスリンは高値、血中グルカゴンは野生型の2倍以上であった。しかしインスリン感受性が高く、血糖値が低く抑えられていることから、機能的に障害されたグルカゴンが検出されていると考えられた。過栄養負荷時の肝臓メタボローム解析では、肝臓内代謝変動、de novoの脂肪合成が弱く、脂肪肝抵抗性を示した一因と考えられた。一方で、嫌気性代謝、アミノ酸代謝が亢進しており、ここでは相対的にグルカゴン作用が有意な結果であった。3、視床下部でAVPが恒常的に上昇しており、本マウスの飲水量が低い原因と考えられた。4、TNFαは血中で増加していないことから、膵臓―脳―肝臓への神経を介した経路による可能性を考え、迷走神経膵臓枝の切断術を実施し、術前への回復を確認できたマウスに高脂肪食負荷を行ったが、摂食量、飲水量、随時血糖値、肝臓重量、副睾丸脂肪重量、病理組織、ALT、TC、TG、インスリン、グルカゴン、GLP1のいずれも有意な変化は観察されなかった。以上より、このマウスの特異的な表現型は、パラクラインしたTNFαがラ氏島由来のホルモンの機能的障害を引き起こし、その微妙なバランスの変化と、血流を介した未知の液性因子がこのマウスの表現型を規定していると考えられた
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