2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K01906
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
齋藤 美保子 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (20551708)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | こども食堂 / 地域貢献 / 子どもの貧困 / 連携・協議会 / ボランティア |
Outline of Annual Research Achievements |
鹿児島県内の子ども食堂はその後、4倍化となり50店舗に手が届くように規模・店舗数が増加・充実してきている。この間、各種の講演会及び学習会を開催し、広く「子ども食堂」について県内での周知と啓蒙をしてきた表れと言える。 特に学校教育における「ボランティア」活動の講演をはじめてから、学校の協力が得られるようになった。高校生への子ども食堂のボランティア活動の参加が顕著に見られ、子ども食堂を利用する子どもたちに良きお兄さん・お姉さんとして親しみ(ケアリング))がみられるようになった。また、長期による不登校の児童が、高校に進学できたことも、子ども食堂が学習支援や相談などの活動の成果といえる。 また、若い母親にとって子ども食堂が「子育てに関する」相談・交流の場として、あるいは文化活動として、子どもだけでなく、保護者にとっても重大な役割があることが、明確になりつつある。 以上が実践活動としての成果であるが、理論的な研究業績としては、異世代間交流としての子ども食堂の役割、自治研究所による子ども食堂の役割など各種論文を掲載してきている。また、大学紀要に『子ども食堂における身近な自然体験活動の実践』『鹿児島県における子ども食堂のとりくみ』という論文と報告書を提出した。 本年度一番の成果は行政・企業・社会福祉協議会・生協・教育委員会などの連携が行われ、県として子ども食堂への予算が付与されたことである。また、県知事との協議会も今後も定例化された。 ただ、今後の課題として、地域住民や子ども食堂利用者にとっても詳細な意識調査が遅れており、可視化する研究・分析が必要となっている。また、学会の発表も次の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度定年退職のため、退職準備にかかる諸業務及び2019年度からの研究環境確保のために研究室の整理と移動・運搬のために多忙となり、データ収集に遅れが発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年できなかった「貧困」概念の整理をはじめ、今後の子どもの支援のあり方や「貧困」そのものの概念を文献により検討し、あらたな視点を確立したい。 全国的な数の子ども食堂の特徴を把握し、今後は「共生社会」の在り方とコミュニティとしての子ども食堂の役割だけでなく子ども食堂の位置づけを明確にする必要があると考えられる。 理論的なことは以上であるが、子ども食堂利用者・保護者・地域住民での意識調査のスケールの確立と方法の検討をこない、調査をする予定である。
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Causes of Carryover |
退職及び新規研究所属受け入れのほうに意識があり、例えば会議の場所の設定などの不十分さがあり、調査対象とした子ども食堂関係に不安が生じた。各子ども食堂関係者や住民の意識調査を詳細に調査してから、報告書及び論文について研究費を保留する必要があったためである。 今後は、鹿児島県の子ども食堂・地域食堂のネットワークも立ちあがり、かつ定例化しつつあるので調査をより進めることができる。具体的には、8月の商工会議所青年部の『愛育の夏祭り第2回』や子ども食堂・地域食堂の制度の検討が6月に開催されるので、子ども食堂利用者や地域住民の意識調査をしたいと考えている。
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Research Products
(4 results)