2019 Fiscal Year Research-status Report
The physiological functions of protein arginine methylation.
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17K01942
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加香 孝一郎 筑波大学, 生命環境系, 講師 (60311594)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルギニンモノメチル化 / タンパク質アルギニンメチル基転移酵素(PRMT) / LC-MS/MS / ノックダウン / CRISPR/Cas9システム |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度、線虫個体内でタンパク質アルギニン残基のモノメチル化に一部寄与しているprmt-1の欠損変異体を宿主に、prmt-1、-3、-4、-5、-6、-7のノックダウンを行ったが、prmt-7変異体で若干MMAが低下したものの、アルギニンメチル化の量には有意な変化は認められなかったことから、そもそも脱メチル化酵素の作用がメチル化状態の変化をより検出し難くしているのではないかと考えた。これまでメチル化タンパク質の脱メチル化は、主としてメチルリジンの研究が先行しており、メチルアルギニンの脱メチル化はほとんど解っていない。そこで2年目はアルギニンモノメチル化責任酵素を単離する前段階として、アルギニン残基の脱メチル化酵素について明らかにすることにした。これまで哺乳類その他の生物種で報告されている、既知のタンパク質及び核酸の脱メチル化酵素の線虫オルソログ24種をノックダウンし、コントロールと比較してメチルアルギニンが上昇する遺伝子の探索を行ったところ、jmjCファミリー並びにalkbファミリーに含まれるそれぞれ複数の遺伝子で、約 1.5倍のSDMAの上昇が観測されたが、MMA及びADMAの上昇を示したものは得られなかった。この結果から、未知の脱メチル化酵素の存在もあり得るものの、同酵素がアルギニンモノメチル化反応の検出に影響する可能性は低いと考えられた。また、初年度のprmtメンバーのスクリーニングで、有力な候補が単離されてこなかった原因として、ノックダウン効率が不十分であった可能性が考えられた。そこで今年度は、CRISPR/Cas9システムを用いて、初年度行ったprmt遺伝子のノックダウンスクリーニングで若干の低下が認められたprmt-7及び他のprmtメンバーであるprmt-9の欠失変異体の作成を試み、現在得られた次世代の交配を繰り返して系統を確立中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度にprmt-1変異体をホストとして、prmtファミリーメンバーによるノックダウンスクリーニングを行い、prmt-7のノックダウンによりMMAの若干の低下が認められたものの、劇的な減少を示すクローンは単離されなかった。ノックダウンによる有意な減少が認められないのは、線虫細胞内で脱メチル化酵素が働いていることが原因ではないかと考え、2年目に既知のタンパク質や核酸の脱メチル化酵素の線虫オルソログ24種をノックダウンしたところ、MMAに対する脱メチル化酵素は得られなかった一方で、jmjCファミリー並びにalkbファミリーメンバーに属するいくつかの脱メチル化酵素のノックダウンでSDMAの上昇を認めた。これらは、これまで知られていなかったメチルアルギニンの脱メチル化酵素候補となり得ることから、予想外の成果であると考えられ、今後新たな展開が期待される。一方、目的としているモノメチル化酵素については未だ単離できていないことから、3年目にprmt-7及びprmt-9の欠損変異体の作成を試み現在系統の樹立を行なっている。さらに期間延長を申し出て許可された4年目で、最終的な結論を得たいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在CRISPR/Cas9システムを用いて作成中である、prmt-7及びprmt-9の欠失変異体を用いて、LC-MS/MSによるメチルアルギニンの定量分析を行う。また、上記方法による変異体の作出のみならず、CGCやNBRPに既存の変異体(部分的欠損も含む)が存在すれば、変異体を入手し同様に解析を行う。さらに、prmt-7及びprmt-9欠損変異体がviableであった場合、prmt-1、prmt-5(或いはその二重変異体)と交配させることにより多重変異体を作成し、MMAの量的変化と表現型の間の関係について解析を進め、アルギニンモノメチル化の生物学的意義に迫る。
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Causes of Carryover |
(理由) タンパク質アルギニンのADMA化を担うprmt-1とSDMA化を担うprmt-5を同時に欠損した変異体線虫では、産卵数の減少やストレス耐性の低下と共に、タンパク質中のADMAとSDMAの両方が消失することを明らかとし、2017年度に論文発表した。これまでの実験では、線虫の飼育・培養やノックダウン用のオリゴヌクレオチド作成にかかる費用が主であり、分析関係についてはタンパク質酸加水分解用のガラスバイアルを硝酸洗浄・再利用する等して、消耗品費を抑えることが可能となったから。 (使用計画) 今年度は、CRISPR-Cas9システムによる候補メチル基転移酵素遺伝子のノックダウンコンストラクト作成や、新たにそれらの変異体線虫の購入などに持越し分の研究費を充当する計画である。
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[Journal Article] Histamine receptor agonist alleviates severe cardiorenal damages by eliciting anti-inflammatory programming.2020
Author(s)
Noguchi, K., Ishida, J., Kim JD, Muromachi, N., Kako, K., Mizukami, H., Lu, W., Ishimaru, T., Kawasaki, S., Kaneko, Fukamizu, A
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.
Volume: 117
Pages: 3150-3156
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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