2020 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質の興奮性と抑制性の神経細胞がつくる機能的回路形成の分子基盤
Project/Area Number |
17K01976
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
平山 晃斉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (40437398)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 抑制性神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホモフィリックな細胞接着分子であるクラスター型プロトカドヘリン(c-Pcdh)遺伝子群は、CTCFの制御下で確率的な発現様式を持ち、個々の神経細胞に分子的多様性を与えるが、その役割は未だ明らかとはいえない。一方、大脳皮質の興奮性と抑制性の神経細胞は別々の場所で産生され、大脳皮質で統合されて機能的な神経回路を形成するが、その分子基盤は不明な点が多い。本研究では、大脳皮質の興奮性と抑制性の神経細胞でc-Pcdh 遺伝子群およびCTCFを操作することで神経回路がどのように変化するかの詳細な解析をおこない、c-Pcdh遺伝子群のホモフィリックな細胞接着とCTCFによる確率的な遺伝子発現制御が機能的神経回路形成の分子基盤として働いていることを明らかとする。 これまでに特定のc-Pcdhを抑制性神経細胞特異的に欠損させたマウスの解析から、顕著に抑制性神経細胞数が減少する時期があることが明らかとなった。c-Pcdh欠損によりどのような遺伝子の発現が変化しているのかを次世代シークエンサーで解析した。特定のc-Pcdhを抑制性神経細胞特異的に欠損させるのと同時に、欠損した細胞を蛍光タンパク質で可視化できるマウスを用いて、セルソーターにより蛍光タンパク質を発現している細胞のみを回収した。また、コントロールとして、蛍光タンパク質を発現しているがc-Pcdhを欠損していない抑制性神経細胞も同様にセルソーターで回収した。回収した神経細胞からRNA抽出をおこない、次世代シークエンサーによる網羅的な解析をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大脳皮質の抑制性神経細胞でCTCFを欠損させると細胞数が減少すること、CTCFによる発現制御を受けている特定のc-Pcdhを欠損させた場合にも同様に細胞数が減少することが明らかになった。特定のc-Pcdhを欠損した抑制性神経細胞で何が起きているのかの解析を進めるため、欠損した細胞を蛍光タンパク質で可視化してセルソーターで回収し、次世代シークエンサーによる解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンサーの結果、特定のc-Pcdhを欠損させることによって遺伝子発現が上昇するものと減少するものが複数得られてきている。これらの変化が正しいかを定量PCRで確認する。また、強く影響を受けた遺伝子がどのような機能と関連したものなのかを解析して、c-Pcdhを欠損することによりなぜ細胞死に陥るのかを解明していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によりマウスを十分に繁殖することができない等、予定の研究を十分に進められなかったことが次年度に使用額が生じた主な理由である。次年度に繰り越した残額は、本年度に予定していた解析を進めるために使用する。
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Research Products
(1 results)