2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K02007
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古泉 達矢 金沢大学, 法学系, 准教授 (90724831)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 威海衛 / イギリス帝国史 / 中国近現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イギリスが中国から租借した山東省威海衛における統治政策と、同地をめぐるイギリスの対華政策の連関に焦点を当て、その租借から還付へ至るまでの過程において、両者が入れ子状に展開した過程を明らかにするものである。 本研究計画の3年目にあたる2019年度には、以下のような活動をおこなった。第一に、昨年度に引き続いて8月13日から同月28日にかけて香港・イギリスを訪問し、主にロンドンにて史料を調査・収集した。まずロンドン郊外にあるイギリス国立公文書館では、主に威海衛の内政に関する植民地省の史料を収集した。またロンドン大学アジア・アフリカ研究院文書館では、昨年度論考として発表した、第一次世界大戦時における威海衛からの華人労働者の欧州送出に関する宣教師関連文書を閲覧した。このほか、東京大学図書館や東洋文庫などで各種文献を調査・収集した。 第二に、2019年3月に華東師範大学で開かれたシンポジウムでおこなった、威海衛における救荒政策に関する報告をさらに発展させ、6月に台湾師範大学で開催された国際シンポジウムにて発表した。これらのシンポジウムにおける報告をもとに、現在論考を準備中である。また、威海衛同様に列強の支配下にあった澳門・香港に関する論文をそれぞれ1本ずつ刊行したほか、台湾および英中関係に関する著書の書評をそれぞれ1本ずつ公刊した。 来年度もまた、今年度のシンポジウム報告の成果を刊行するよう努力すると共に、これまで収集した史料の読解を進めるほか、その過程で必要性が明らかとなった史・資料の調査・収集を進めてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度のシンポジウムにおける報告をさらに発展させて、別の国際シンポジウムで発表することができた上、昨年収集した史料を読み進めるうちに、まだ従来の研究では利用されていない史料群の可能性を見出し、これを調査することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルスの影響により、2020年度に海外で史料の調査・収集を行ことができるかどうかは分からないが、可能な限り引き続き、イギリスおよび東アジア各地の史料館・大学図書館などで史料調査・収集を継続するほか、今年度のシンポジウム報告をもとにした論考の執筆をすすめる。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、今年度もまたイギリスでの滞在期間が当初の予定よりも短かった上、コロナウィルスの影響により予定していた国内外での史料調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。これらの助成金は来年度以降の国内外における史・資料調査の旅費や、文献の購入費用などにあてることとしたい。
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