2019 Fiscal Year Research-status Report
ボルネオ社会編成の基礎研究:汽水域・流域・間流域からの新モデル構築
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17K02017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 登 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (50273503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プナン / ヴァイ・スガン / 民族 / イスラム化 / サラワク / マレーシア / 集団帰属 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ボルネオ島マレーシア、サラワク州中部地域、クムナ川流域社会において、その中流域と下流域での民族編成に関する調査を継続して行った。ついては、特にプナン(Penan)の民族性の変容を明らかにすべく、プナンとヴァイ・スガン(Vaie Segan)の婚姻、親族関係の聞き取り調査を行い、その民族的帰属の変化などを検討した。この結果、相当数のプナンがヴァイ・スガンとの婚姻、ならびにイスラム教入信をとおして、その帰属をヴァイ・スガンに変更していた歴史的動態を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボルネオ島サラワク州中部地域の流域社会(下流域、流域間、上流)の民族集団の移動史、婚姻関係、親族関係についてのデータ収集は、計画のとおり順調に進んでいる。エドモンド・リーチならびにロドニー・ニーダムによる1950年台のプナン調査ならびに流域調査を再検討する目的で、これらの調査が行われた地域を訪れてのデータ採集も順調に進んでいる。ボルネオの民族学的調査の二人の碩学の人類学的営為を実際のフィールドワークを通して振り返り、現在のデータと重ね合わせる作業は、本科研プロジェクトの一つの柱となっている。これはプロジェクト立案時には想定していなかった調査活動であり、その意味では当初の計画以上の進展を本プロジェクトにもたらす可能性を持っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ボルネオ島サラワク州中部地域の流域社会(下流域、流域間、上流)の民族集団の移動史、婚姻関係、親族関係についてのデータ収集を来年度も継続する。これに加えて、エドモンド・リーチならびにロドニー・ニーダムによる1950年台のプナン調査ならびに流域調査の再検討も継続し、これらの調査が行われた地域を訪れてのデータ採集を行う。1950年代に行われたこれらの民族学的調査を実際のフィールドワークを通して振り返り、現在のデータと重ね合わせる作業を科研終了まで継続する。収集したデータを整理して、2020年度のBorneo Research Council年次集会にて発表を行い、ボルネオで調査に従事する研究者からのアドバイスを受ける計画である。
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Causes of Carryover |
新コロナウイルスの拡大のため外国出張が風可能となったため。
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Research Products
(3 results)