2021 Fiscal Year Research-status Report
自然環境破壊がもたらす民主主義:タイ東北部の「赤シャツ」運動とゴム栽培の因果関係
Project/Area Number |
17K02028
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤田 渡 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (10411844)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 赤シャツ / 自然破壊 / タイ / イサーン / 農村の社会経済変化と政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナの影響により、引き続き、海外への渡航が不可能であったため、1)これまでの調査で得られた情報にもとづき、論文の作成を行った。2)また、関連する事項として、2014年以降のタイの自然資源管理に関する政策や法制度の推移を整理した。 1)については、農薬により劣化した生活環境を再生させる動きと、一度、絶滅したヒガシオオヅルの繁殖・野生復帰事業との連関について、論文を公表した。加えて、本研究課題の中心的な問いである、自然資源の劣化、日常生活の自然とのかかわりの希薄化と、イサーンの農民の政治的意識の高まりの関連性について、論文を作成中である。 2)については、2019年に成立した「コミュニティ林法」など森林関連法規の制定と改正について、住民生活へのインパクトという点から分析した論文を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ前の段階では、計画よりも早く進捗していた。コロナ期間中、停滞をしたが、最後に補足的な調査を残すのみである。 そう考えると、概ね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の中心的な問いである、自然資源の劣化、農民の社会経済的上昇、生活スタイルの「都市化」と、民主主義への目覚めという政治的意識の高まりとの関係を明らかにすることの延長として、より広く、「中進国化」ともいわれるタイ社会全体の動きのなかでの位置づけを探る。現政権はじめ保守的な層と、農民の中間層化を前提とするリベラルな層との間での、「農民」をめぐるイデオロギーのせめぎ合いという点で、関連する事象を発見し、結びつけるような考察を行う。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で現地調査や学会出張がなくなり、旅費を使用することがなかったため。 今年度、コロナの終息を待って、タイで短期間の補足調査を実施する。
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