2020 Fiscal Year Research-status Report
性別違和における成人M t Fの生活とQOLの実態およびQOLと化粧との関連
Project/Area Number |
17K02074
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
井關 敦子 岐阜大学, 医学部, 教授 (10363201)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
山口 琴美 岐阜大学, 医学部, 准教授 (40432314)
山田 奈央 岐阜大学, 医学部, 助教 (90549776)
大橋 一友 大手前大学, 国際看護学部, 教授 (30203897)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | MtF |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究方法の概要:20名から研究参加に承諾が得られ面接調査を実施した。 2.個人の背景:年齢は30~70歳、性別適合手術(以下SRS)実施は3名、戸籍の性別変更終了者は2名であった。就業状況は2名が無職、18名は有職であった。婚姻状況は、既婚4名、独身12名であった。 3.成人後の職場での困難や問題、化粧や女性の装いの意味:職場では【退職を強要】【職場でのセクハラやパワハラ】等の問題があった。女子更衣室を使えないことに対して【女性にはなれない現実】をつきつけられた。一方、女性の服装や化粧をすることは女性としてのアイデンティティを確認し【情緒の安定と女性としての自分を取り戻す】必須の時間と空間であった。美容院やデパートの化粧品売り場での【女性として普通に対応し受容してくれる】者はMtF当時者の重要な支援者であった。また【女性の人生を送りたい私を受容してくれる妻】は心の支えであった。 4.治療状況、SRSに至った理由、SRSへの思い:ホルモン剤の開始を含め治療開始やSRS実施の動機は「女性で通用しない現実に直面」「子どもの成人」「中年男性の体臭に嫌悪」等であった。SRS未実施の理由は、「子どもの教育費の確保」「親の性別変更は子供の不利益」「SRSは体力的に心配」「ホルモン治療で外見が女性化し満足」等であった。一方で【本物の女性でないぶん努力しなければ女性に追いつけない】【全身治療し完全な女性になりたい】との思いもあった。また、SRS実施者は「治療は私の救い、治療により本当の人生が始まる」「治療したことで本当の自分を取り戻した」と【女性性の回復】【治療したことへの満足】を述べていた。 5.性別違和(性同一性障害)の意味付け:「治療で多くのものを無くしたが、得た物のほうが多い。この病に生まれついたのは尊く何かの使命」と、【苦悩を乗り越え性別を超越した人格的発達】に至った当事者もあった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度は、MtF当事者を対象とした、メークアップ講習を予定していたが、COVID-19蔓延に伴う制限のため、多人数が密室で実施する講習会は危険と判断し、開催できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
日本国内でのワクチン接種が普及し、緊急事態制限が緩和され、他府県への移動等が可能になれば、講習会の開催は可能となるため、令和3年度後半には、東海圏~関東圏からの参加を募り、研究遂行は可能と考えている。
|
Causes of Carryover |
令和2年度はCOVID-19のため、計画通り研究ができず、研究期間を延長したため、使用額が生じた。
|