2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02115
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
福井 令恵 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (50724035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 住民集団間関係 / 移行期社会 / 都市論 / 表象 / 紛争跡地ツアー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北アイルランドの紛争後社会の住民集団間(イギリス系とアイルランド系)の関係が、観光によってどのように変化したのかを明らかにし、<紛争後社会>における観光のあり方と可能性・課題をコミュニティ関係の観点から示すことを目的とする。敵対関係にあった二つの住民集団間の直接的な相互作用と同時に、様々なアクター(アイルランド・北アイルランド政府、観光客)の存在と相互作用により紛争経験地域がどのような影響をうけ、その結果生じた地域コミュニティ間の相互関係の変容について、より包括的な枠組みから考察する。2019年度も、現地でのフィールド調査を継続して行い、いくつかの知見を得た。 1. 北アイルランドおよびアイルランドの公文書館で資料調査を行った。和平合意以前(1980年代~1990年代前半)の国境管理が厳しい時代に、観光が北アイルランド社会においてどのように進められたのか、観光が紛争時の政府関係者にとってどのように位置づけられていたのか、公文書をもとに明らかにした。 2. 2018年度の調査に引き続き、コミュニティのハブの役割を果たしている団体を訪問し、情報を入手した。 3.ブレグジットの最大の懸案である、アイルランド・北アイルランドの国境管理をどうするのかという問題がフィールド先の住民にとっても非常に重要な関心事であった。聞き取りや資料収集をするなかで、その点に関わる地区の対応や考え方の知見を得ることができた。紛争後の北アイルランド移行期社会を考える本研究テーマにおいて、こうした点は重要であると考えている。 3. これまで明らかになった内容を研究論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北アイルランド・アイルランドの公文書館に出向き、資料収集を行った。特に北アイルランドの公文書館では、公開直後の国境管理に関する秘密文書を見つけることができた点は、本研究にとって大きな進展といえる。他方で、フィールド調査でのプロジェクトのフォローアップについては、先方のスケジュールと調整がつかず、一部予定通りにいかないものもあった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、コロナ災禍の影響がどの程度の期間・範囲に及ぶのかという懸念があるが、補足的なフィールド調査を行うと同時に、学会報告と論文執筆を進めたい。
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