2018 Fiscal Year Research-status Report
神道灌頂に関する総合的研究―神仏習合の資料学的再構築
Project/Area Number |
17K02249
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
伊藤 聡 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90344829)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神道灌頂 / 中世神道 / 麗気記 / 御流神道 / 麗気灌頂 / 日本紀灌頂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、真福寺・西福寺・高幡不動を中心とする仏教寺院における〈神道灌頂〉の資料調査を行い、その儀礼世界の復元を目的としている。 真福寺調査においては、『麗気記』に関する調査・研究を中心に行った。その成果は、真福寺善本叢刊『麗気記』に、研究協力者である鈴木英之とともにまとめ、臨川書店より刊行した。真福寺との関係で覚城院(香川県三豊市)・高野山大学図書館の調査も行った。覚城院調査では、同寺院に複数の中世神道書が存在したことを示す『聖教目録』を発見し、覚城院資料の調査報告会にて発表した。高野山大学図書館では、御流神道関係の聖教の調査を行い、真福寺所蔵資料と関連のある、室町時代書写にかかる複数の神道灌頂資料を調査した。高幡不動においては、入力データファイルをもとに3度の調査を行った。中山一麿、大東敬明、鈴木英之等が参加した。神道資料を中心に、密教関係の資料の書誌調査を行った。西福寺については、去年に続いて研究協力者中山一麿と協力して、神道灌頂の資料と関連する密教聖教の調査を行った。 研究成果としては、5月米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校で行われたシンポジウム「灌頂の世界:仏教文化圏における入門・伝授儀礼の思想と実践」において、「麗気灌頂と日本紀灌頂」という口頭発表を行った。論文は「中世神道・中世日本紀研究の現状」(『歴史評論』816)を発表。著書は真福寺善本叢刊『麗気記』(臨川書店、2019)を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真福寺調査は順調に行われた。 高幡不動には定期的に調査に入り、連携協力者・研究協力者とともにデータ整理が進展した。 西福寺は、現地調査は十分でなかったが、データの打ち込み作業は継続している。 その他の関連調査(覚城院、高野山大学図書館)も、複数回行った。
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Strategy for Future Research Activity |
真福寺については、御流神道関係資料の調査を中心に進め、資料集の完成を目指す。西福寺については、データ打ち込み、整理を本格化する。高幡不動は、調査回数を増やす。
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Causes of Carryover |
データ整理のための充てようとした分が、業者委託した結果、予算より低く抑えられたため余りが生じた。今年度の調査旅行の旅費に充当する予定。
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