2020 Fiscal Year Research-status Report
神道灌頂に関する総合的研究―神仏習合の資料学的再構築
Project/Area Number |
17K02249
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
伊藤 聡 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90344829)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 両部神道 / 神道灌頂 / 御流神道 / 玉水流 / 中世神道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナの影響で十分な研究調査ができなかったが、数少ない機会をとらえて、西福寺(京都府綴喜郡井手町)、高幡不動(東京都日野市)、高野山大学図書館(和歌山県高野町)南山城郷土資料館(京都府木津川市)で、神道灌頂関係資料の調査を行い、撮影・書誌調査等、研究上必要な作業を行った。 研究発表としては、2020年12月13日の第5回 寺院資料調査 研究報告「経蔵再生―覚城院聖教とその魅力―」において「空観房如実と賀茂流について―覚城院蔵『結縁灌頂丹州巌辺寺記』をめぐって」と題する報告を行った。 研究成果としては、単著論文「忌部正通『神代巻口訣』と忌部神道」(山下久夫・斎藤英喜編『日本書紀一三〇〇年史を問う』思文閣出版、2020年6月)、「中近世の「神道」」(日本宗教史3『宗教の融合と分離・衝突』吉川弘文館、2020年8月 ※共編者を兼ねる)、「神道における宗教性と変容」(中嶋隆博ほか編『社寺会堂から探る 江戸東京の精神文化』勁草書房、2020年10月)「変貌する冥界」(日本宗教史5『日本宗教の信仰世界』2020年12月 ※共編者を兼ねる)、「中世の神仏関係から近世へ―特に神本仏迹説をめぐって」(吉田一彦編『神仏融合の東アジア史』名古屋大学出版会、2021年2月)、「神道と東アジア」(小峯和明編『東アジア文化講座3 東アジアに共有される文学世界-東アジアの文学圈』文学通信、2021年3月)を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響により、現地における実地の研究調査の回数が減ったが、その分を資料の整理等に振り向けることができた。特に玉水流の実態解明に向けて、資料の内容解読が進んだ。その一部は、今年度に発表した学術論文で示したが、未だ本格的な報告はできていない。これについては、延長を許された来年度で行いたいと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度中に玉水流の神道灌頂についての資料解題を作成する予定。さらに真福寺の御流神道関係の資料集を臨川書店より出版することを予定している。さらに、胎内五位・十月図に関わる神道灌頂資料についてEAJS(ヨーロッパ日本研究協会)の2021年度大会(ZOOM、8月末)にて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、予定していた四国方面での調査ができず、関西における調査回数が減ったため。令和3年度では、大阪大学・高野山大学図書館への出張を計画している。
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