2019 Fiscal Year Research-status Report
降霊術から腹話術へ~西洋近代「魔女」概念の形成に関する研究
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17K02250
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
高井 啓介 関東学院大学, 国際文化学部, 准教授 (00573453)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 旧約聖書 / 降霊術師 / ヘブライ語 / ギリシア語 / 腹話術師 / ダイモーン / エンガストリミュートス / バアラト・オーヴ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究内容を以下の3点に集中して実施した。(1)「降霊術」と「腹話術」および「魔女」が描かれた図像の分析およびその分析の論文化の作業。(2)現代的エンターテインメントとしての「腹話術」の歴史に関連する資料の収集およびその分析と論文化の作業。(3)旧約聖書テキストおよびその解釈についての文献学的研究の成果をまとめる形での最終的な論文執筆作業および学会発表での成果の発表の準備。 以下が本年度の成果である。(1)については、古代末期以降西洋近代以前に至るまでの図像をほぼ網羅的に収集し、その分析を進め、テキストと図像との関係性の特徴を明らかにした。(2)については、「降霊術」と降霊術師のダイモーンに関する言説が脱神話化されることにより、現代的なエンターテインメントとしての「腹話術」および腹話術師が成立していく道筋を確認することができた。(3)については、「降霊術師」の登場する旧約聖書テキストおよびその解釈をダイモーンという観点からまとめなおす作業を行った結果、論文執筆および学会発表に向けてのおおよその見通しを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に記した内容のうち、(2)は順調に進捗した。ただ、(1)については西洋近代以降の図像資料の分析をさらに行う必要があり、(3)に関しても論文を準備し投稿するための資料に多少の不足があることが判明して完成に至らなかった。そのため、当初の研究計画よりやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、上記研究実績の概要に記した(1)について、西洋近代以降の「降霊術師」および「腹話術師」に関する図像資料の分析を行うとともに、その研究成果を論文として発表する。また上記研究実績の概要に記した(3)に関しては、不足している資料を整えるとともに、その成果についての論文執筆を行うとともに、学会においての報告に向けての準備を行う。
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Causes of Carryover |
計画した海外調査を行ったが、研究実績の概要に記した(1)および(3)に関して資料収集が十分ではなく、さらに海外からの書籍の注文を行おうとしたが、研究成果を得るためにどうしても必要な書籍のいくつかは次年度での到着も見込まれることになったので、研究計画を一年延長することにした。そのため、物品費に使用するための次年度使用額が生じている。
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Research Products
(1 results)