2022 Fiscal Year Annual Research Report
From Necromancy to Ventriloquism: A Study on the Formation of the Modern Western Concept of "Witches"
Project/Area Number |
17K02250
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
高井 啓介 関東学院大学, 国際文化学部, 教授 (00573453)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘブライ語聖書 / 降霊術師 / セプチュアギンタ / 腹話術師 / ダイモニオン / ダイモーン / エンガストリミュートス / ピューティア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、古代イスラエルの降霊術師・降霊術と、古代ギリシア・ローマの腹話術師・腹話術という二つの相異なる人物と術が、旧約聖書の翻訳および釈義の場面で強く結びつき、その両者が結合した術者と術のイメージが、のちに西洋近代の「魔女」および魔女術の概念の形成の一端に寄与したことを資料的に例証しようとするものである。その目的を達成するために、これまで、ヘブライの降霊術師とヘレニズムの腹話術師が同一視されるようになる過程を明らかにし、また、この両者が同一視された降霊術師=腹話術師が、西洋近代に至って「魔女」概念の一部を構成するようになった過程を明らかにし、その成果を論文・著書の形で発表してきた。 最終年度である本年度は図像とテキストの関係性を明らかにするというこれまでにこの分野で行われていなかった研究に力を注いだ。すなわち、「降霊術」・「腹話術」・「魔女術」の関係性をより明確にするために、古代末期以降の聖書写本・絵画等のなかの「降霊術師」表象と近代以降の絵画のなかに表現された「魔女」表象、および現代のエンターテインメントの広告等における「腹話術師」の表象について網羅的に収集しかつ分類しつつその分析を進めた。さらに、その成果およびこれまでの研究成果を国外の学会で発表すべく準備を進めたが、本年度も引き続きオンライン授業の負担が重く、その状況のなかで相対的に研究に従事する時間が減少したために、海外渡航がかなわず発表を行うことはできなかった。この点すなわち今年度の研究成果の口頭発表につていは、今後の研究においてなされるべき課題となる。
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