2019 Fiscal Year Research-status Report
1960年代前衛演劇の身体表象に関する研究基盤の構築
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17K02385
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
樋口 良澄 関東学院大学, 国際文化学部, 客員教授 (30796157)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 現代演劇 / 前衛芸術 / 身体表象 / 肉体 / 1960年代 / 寺山修司 / 唐十郎 / 土方巽 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 2018年に展示資料として監修・作成した「実験劇場と唐十郎」を増補し、資料集として明治大学唐十郎アーカイヴから刊行した。1950年代末から60年代にかけて、リアリズム演劇と大学演劇がどのように前衛演劇運動に関っていったかを、新発見した資料を通じて論じた。60年代前衛演劇前史の資料集として貴重なもので、資料からは演劇にとどまらない、芸術における「実験」の世界的な文脈が読み取れた。 2 現代演劇の演劇資料をアーカイヴ化し、今後広く研究の基盤となる「明治大学唐十郎アーカイヴ」の資料整理を担当し、資料のデジタル化、デジタル・アーカイヴの設計において、実践的な研究活動を行なった。その過程を「唐十郎の演劇世界とアーカイヴ」(「Booklet」27号「芸術とアーカイヴ」、慶應義塾大学アート・センター刊)として記録した。 3 パリのポンピドーセンターで1986年に開催された「日本の前衛展」の関連資料を現地調査。寺山修司、佐藤信らの日本の60年代前衛演劇や土方巽の舞踏がどのように海外で「発見」され、国際的文脈を獲得したかを追跡した。2018年のニューヨーク調査と合わせ、60年代の日本の身体芸術が持つグローバルな文脈を確認した。 4 日本の60年代前衛演劇が同時代において国際的に展開した過程を研究する一環として、これまで調査されたことのなかった状況劇場のシリア/レバノン・パレスチナ難民キャンプ公演を現地調査。ベイルート・アメリカン大学で開かれていた足立正生展(足立は状況劇場公演に関わった)の展示や反響の調査も行い、アラブ世界と日本の芸術活動との当時の交流を研究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
明治大学唐十郎アーカイヴにおいてデジタル化する予定の演劇資料の調査が遅れている。証言者の物故などの理由により、資料のコンテクストの最終確認が困難なものが残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
アーカイヴの資料確認については、広く関係者に聞き取りを行い、2020年度半ばまでに終える。資料をデジタル・アーカイヴ化し、現代演劇の研究基盤としての活用をめざす。その過程での研究成果を踏まえ、20年秋に演劇研究とアーカイヴをめぐるシンポジウムを開催したい。そこで現代演劇研究の新しい方向について議論し、資料調査の現状や研究成果を広く共有することを計画している。
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Causes of Carryover |
状況劇場公演資料で期間内に調査を終えられなかった資料があり、次年度にわたることになった。調査費用として使用し、資料調査を終えたい。
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Research Products
(2 results)