2018 Fiscal Year Research-status Report
少女マンガ黎明期のジャンル形成過程における制作者の役割に関する実証的研究
Project/Area Number |
17K02396
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
増田 のぞみ 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (80449553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪俣 紀子 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (20734487)
東 園子 京都産業大学, 現代社会学部, 准教授 (40581301)
谷本 奈穂 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90351494)
山中 千恵 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (90397779)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 少女マンガ / 雑誌研究 / 出版文化 / 少女向けメディア / ポピュラー文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、少女マンガ黎明期のジャンル形成過程において作家や編集者がどのような役割を果たしたのかを明らかにすることである。戦後日本のメディア文化をより深く理解するためには、少女マンガという世界的にも稀有なジャンルがどのような作家や雑誌によって作られてきたのか、黎明期の少女マンガの形成過程を多角的に問う必要がある。本研究では、1950年代から1960年代にかけての、「少女マンガ」というジャンルの黎明期とされる時期から活躍を続けるわたなべまさこ、牧美也子、水野英子、花村えい子といった女性のマンガ家たちに焦点を当て、それらの作家たちが少女マンガというジャンルとどのような関わりを持ってきたのかを明らかにすることを目指している。 2018年度は、水野英子が呼びかけ人となり、少女マンガ黎明期に活躍した作家や編集者らによる座談会が計4回開催された「少女マンガを語る会」の活動に注目し、この座談会の記録を報告書として後世に残すための作業を進めた。 また、少女マンガ黎明期の「少女」イメージに大きな影響を与え、その後は女性週刊誌などを舞台に「劇画」作品を描いた牧美也子を取り上げ、牧の作品と少女マンガジャンルとの関わりを掘り下げる調査を進めた。その内容については、2018年12月に仁愛大学にて行われた中部人間学会大会において、「黎明期少女マンガと牧美也子――「少女」イメージと女性向け「劇画」をめぐって」と題した成果報告を行った(報告者・増田のぞみ)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、「少女マンガを語る会」の活動を報告書にまとめる準備作業のため、研究協力者との打ち合わせを重ねた。また、本研究において最も重要な作家の一人となる牧美也子についての調査を進め、12月には中部人間学会大会(於・仁愛大学)において研究成果の報告を行うことができた。本研究課題は、当初の研究計画に従って、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、本科研プロジェクトの最終年度となるため、「少女マンガを語る会」の貴重な記録を後世に残すための作業を早急に進めたいと考えている。座談会での発言内容に関連して、適宜註釈や図版を付けるための調査を行い、報告書にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
本科研プロジェクトの研究成果として報告書にまとめる予定である「少女マンガを語る会」座談会の記録について、註釈や図版を付けるための調査に関する謝金等の費用を2019年度の作業終了時にまとめて支払うこととなったため、調査関連の予算を2019年度に執行することとした。
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Research Products
(3 results)