2019 Fiscal Year Research-status Report
歌舞伎興行と近世期出版商業活動における連動性についての発展的研究
Project/Area Number |
17K02475
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
倉橋 正恵 立命館大学, 産業社会学部, 非常勤講師 (90425017)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 歌舞伎 / 興行 / 出版 / 浮世絵 / 近世文学 / 情報 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には、昨年度(2018年度)に立命館大学アート・リサーチセンターでデジタル撮影した歌舞伎研究者所蔵の上方芝居番付を中心とする番付コレクション約390点の画像を、アート・リサーチセンター番付ポータルデータベースに組み入れた。その上で各番付の上演を考証して上演情報を同館の運営する番付ポータルデータベースへ反映させることができた。 研究論文としては、2019年6月にこれまで未紹介であった神戸女子大学古典芸能研究センター所蔵歌舞伎資料6点についての資料紹介及び翻刻を行った。口頭発表としては、2019年9月には「ARC番付ポータルデータベースを活用した興行番付のグローバルアーカイブ構築研究 歌舞伎興行と番付」研究会を立命館大学アート・リサーチセンターにおいて開催し、歌舞伎番付について口頭発表を行った。さらに、国際日本文化研究センターで開催された「異分野融合による「総合書物学」の構築:文化・情報の結節点としての図像プロジェクト」の第2回絵入百科事典兼研究会においても、節用集見立の劇書についての口頭発表を行った。 その他、本研究の成果を集めた学術図書『江戸歌舞伎の情報文化史』を刊行するため、2020年度の科学研究費補助金・研究成果公開促進費(学術図書)を2019年11月に申請し、2020年4月に採択された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は2018年度までに行った調査・研究によって蓄積してきたデータを活かし、未紹介であった歌舞伎役者資料の紹介と翻刻の執筆、研究発表、歌舞伎興行と出版の関係性を論じた研究論文集刊行の準備を行うことができた。 しかし、配役による歌舞伎上演年表の作成については、入力データの喪失等のアクシデントにより当初の予定からは遅れており、その点を考慮して上記の進捗状況とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究は、2020年度の科学研究費補助金・研究成果公開促進費(学術図書)に採択された本研究の成果を集めた学術図書『江戸歌舞伎の情報文化史』を刊行することを最優先とする。また、論文集の刊行準備と並行して、『続々歌舞伎年代記』をもととした安政6年から慶応4年までの配役による歌舞伎上演年表データベースの完成を目指す。 『中村座日記』の資料刊行準備については第二次翻刻作業の完成を目指すと共に、本格的な刊行準備にも着手する。これと同時に、『中村座日記』を中心とした研究会活動を通して歌舞伎興行と近世期の出版活動の関係性についての研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
2019年度にデータ入力の謝金分として計画していた予算であったが、当初予定していた入力件数の大幅減少によって実際の謝金支払金額が少なくなった。 また、資料複写代・通信費として計画していた予算についても、各所蔵機関のデジタルアーカイブ化によって資料複写代を支払うことがなかったために、計画していた使用額との差が生じた。 2020年度には、2019年度中に完了できなかった分のデータ入力を行ってその謝金を支払うと共に、デジタルアーカイブ化されていない演劇資料についての複写物を作成することで、差額が生じた額を使用していく予定である。
|