2020 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental studies of "tyuusinngura"syokijitsuroku
Project/Area Number |
17K02477
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 卓 関西大学, 文学部, 教授 (60230562)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 忠臣蔵 / 近世小説 / 近世史 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在まで知られている「忠臣蔵」(赤穂義士伝)像を創出・形成してきたのは、主に写本の「近世実録」というジャンルの作品群なのである。この忠臣蔵初期実録に注目することは「忠臣蔵」像の原形を探ることになる。忠臣蔵初期実録は、大部分が『赤穂義人纂書』に収録されており重宝するのであるが、残念ながらその全てが収録されたものではないことが惜しまれる。 本研究では、そのような忠臣蔵初期実録を取り上げ、『赤穂義人纂書』に漏れた雑多な作品群を諸本研究して、忠臣蔵像の創出・形成において重要な作品を見出し、その諸本の本文を校合し良質な校合本文を作成する。あわせてその解題的基礎研究を進め、これらを公刊し、斯界や社会に提供することである。 具体的には忠臣蔵初期実録の諸本を研究し、まず『介石記」と『新撰大石記』を選び抜き、その本文を比較研究して校訂本文を作成し、さらに解題的基礎研究を進めた。さらに選ぶべき作品がないか考究の結果、『通俗演義赤城盟伝』を選定し、その本文を比較研究して校訂本文を作成し、さらに解題的基礎研究を進めた。 そしてこれら3作品の校訂本文と解題的研究の原稿を作成し、出版社(清文堂出版)に入稿して、誤りを正して校正を進め、ついに『忠臣蔵初期実録集』として公刊することができた(2020年9月26日)この書を専門家・関係者に謹呈して意見を徴し、忠臣蔵初期実録についての基礎研究を深めた。その研究の一部は拙著「『赤城義臣伝』と『通俗演義赤城盟伝』(『国文学』105号)として発表した。
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Research Products
(2 results)