2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K02611
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
松原 陽子 明治大学, 商学部, 専任准教授 (10610371)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生成過程研究 / 舞台芸術 / 演劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
プルーストの小説『失われた時を求めて』における引用及び小説の生成過程について文献調査を続けた。小説のモチーフと引用の関係を明らかにすることを目的として、研究を進めた。 研究期間中に、研究課題に関する論文「『失われた時を求めて』における舞台芸術:小劇場の演者」(査読付)が掲載された。 具体的には、小説『失われた時を求めて』における舞台芸術のなかでも、特に重要な役割を果たしている演劇を分析対象とした。主要な登場人物のひとりで、ラシーヌの悲劇『フェードル』を演じる大女優ラ・ベルマの演技だけでなく、無名の役者たちによって演じられる小劇場の芝居、そして芝居がはねたあとで練習するダンサーの姿を描いた場面も取り上げた。それぞれの場面の成立過程を辿り、物語の設定や登場人物をめぐる色彩の変更の理由について考察した。その結果、『失われた時を求めて』において、舞台芸術がいかなるものか、草稿で描かれていた色彩が小説のモチーフとどのように結び付けられているのかを分析することができた。 舞台芸術をめぐる描写や設定に着目し、草稿から最終稿に至るまでに加えられた変更点を詳細に辿った結果、小劇場における観劇の描写に、舞台芸術に関する問いと答えが暗示されていることが明らかになった。登場人物の描写において、色彩が最終稿で変更されていることを指摘し、小説『失われた時を求めて』における色彩とモチーフとの関連を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学図書館を利用し、文献調査を進めることができた。網羅的な文献調査に基づき、研究期間中に論文(査読付)を刊行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
プルーストの小説『失われた時を求めて』の生成過程についてさらに詳しく研究を進め、小説のモチーフと引用との関連を考察する予定である。研究課題に関する文献調査等のための出張を予定している。
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Causes of Carryover |
(理由)日程が合わず、予定していた文献調査のための出張を入れることができなかったため。 (使用計画)研究課題に関する文献調査等を進めるため、出張をする予定である。
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