2018 Fiscal Year Research-status Report
Emergence of Modern Russian Literature--Country Estate in History of Russian Literature
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17K02625
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
坂内 徳明 放送大学, 東京多摩学習センター, 特任教授 (00126369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥山 祐介 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (40466694)
金澤 美知子 日本大学, 芸術学部, 研究員 (60143343)
佐藤 千登勢 法政大学, 国際文化学部, 教授 (90298109)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 貴族屋敷 / ウサーヂバ / 文化的拠点 / 貴族の巣 / 地方文化 / アンドレイ・ボロトフ / 文化遺産 / 地主貴族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第二年度である平成30年度の進捗状況は、全体としてほぼ当初の実施計画に従って進められた点でおおむね順調であったと言える。すなわち、夏の現地調査もほぼ予定通り実施され、これまであまり関心が向けられていなかったヨーロッパ・ロシア地域の中部ならびに北部の一部、すなわち、コストロマー、ヤロスラヴリ、ヴォログダ、チフビンといった地区の貴族屋敷を精力的に調査することができたことは大きな成果である。 これまで、本研究では、ペテルブルク郊外を中心に、さらに、プスコフ、スモレンスクなどロシア北西地区の貴族屋敷を集中的に見学・調査してきた。そのことを考えれば、今年度の調査により、一口に貴族屋敷と言っても、大きな相違点と共通性があることを確認したことは当然である。しかも、それにとどまらず、これを単純に「地方色」が原因と結論づけるだけでは済まない大きな論点が見えてきたという実感が得られたことが重要である。やはり現地に赴き、その土地とその感触を肌で触れることが、特に貴族屋敷(しかも、すでにそれはすべて過去の文化遺産となっている)研究には不可欠な作業であることは、当然ではあるが、今更ながら重要な視点である。 文献調査に関して言えば、代表者の坂内は、前年度から引き継ぐ形で、中部ロシア(トゥ―ラ州)の中小地主の屋敷文化を代表する典型的事例として、アンドレイ・ボロトフ研究はさらに前進しており、以前の講演内容を活字化した(以下の業績参照)。また、分担者二名は18世紀ロシア文学テクストの精読を続け、もう一名の分担者は20世紀初頭以降、現代までのソビエト・ロシア映画における貴族屋敷表象の調査を継続している。年一度の研究会では、各自の研究進捗の報告ならびに情報交換を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査は、事前の予定通り、これまで調査に赴いたことのない地域において実施された。スケジュールならびに移動方法については、かなりシビアで多くの課題が残ったが、それでも、目的地においては、当初の予想を超える多くの「発見」があった。例えば、貴族屋敷自体の規模・大きさ、ロケーション(市内にあるものも含む)、歴史、旧所有者(貴族、豪農、商人等々)の階層・身分、そして相続等々の面から見て、きわめて多様であったことを確認できたことは、十分予想されていたとは言え、収穫であった。 また、代表者ならびに分担者、さらに協力者のお互いの研究進捗状況の把握も問題なく、現在、計画書にも記したとおり、中間段階での成果報告のための報告書を刊行準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の後半時期に突入したことから、これまでの研究状況を研究メンバー間で確実に共有し、かつ各自のテーマの深化を進めることは当然である。その意味で、第二年度が終了した時点での「中間報告書」を現在、鋭意準備中である。また、今年度の現地調査をより具体的かつ効率的に進めるべく、情報収集を行い、具体的計画を策定中である。同時に、文献調査により精力的に邁進する。
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Causes of Carryover |
当初、刊行を予定していた研究プロジェクト・中間報告書の完成が、各種年度末作業の集中等により年度内には間に合わず、第三年度へと持ちこすこととしたためである。なお、収録論文は、代表者、分担者、協力者分を合わせてほとんど提出済みであるため、夏期までには刊行予定である。
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