2018 Fiscal Year Research-status Report
前近代文学者たちの近代―明治・大正・昭和期における伝記と肖像の継承と変容
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17K02656
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 久美子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10647994)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肖像 / 絵巻 / 文学者 / 紫式部 / 小野小町 / 近現代 / 古典受容 / 『源氏物語』 |
Outline of Annual Research Achievements |
上代から近世までの代表的文学者の人物伝と肖像を横断的に分析し、近代以後、古典文学とその作者の人物像がどのように伝わり広まったかを追う課題のうち、平成30年度は主に、前年度から継続していた平安文学者たちについての調査結果をとりまとめ、発信を行った。紫式部に続き、特に小野小町についての研究を進め、発表を行っている。 近代において、美人としての小町のイメージがどのように広がったのかを追う研究は、異なる分野の研究者や一般にも広く関心を持ってもらうことができた。新設された東京大学ヒューマニティーズセンターからも助成を受ける機会を得たほか、東京大学ホームページUTokyo FOCUS FEATURESにインタビューが掲載され、日本語版・英語版ともに多くのアクセスがあった(「世界三大美人言説から見えてくる人々の「認識」の作られ方 小野小町は本当に美人だったのか」"A legendary beauty? Dissecting popular myths about ancient waka poet Ono no Komachi" 取材・文 小竹朝子、東京大学広報室、平成31年3月7日公開、URLはそれぞれ下記の通り。) 日本語版 https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0508_00096.html 英語版 https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/en/features/z0508_00097.html また、紫式部の研究を進めるうえで『源氏物語』を再読した際に気付いた点をセミナーで発表したほか、容貌に基づく差別を考えるという問題関心から絵巻「病草紙」の分析を行った論文を刊行するなど、周辺領域の研究も遂行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自身の研究発表と論文刊行を1件ずつは実施できたほか、ディスカッサントを務めた研究会等で、多様な分野の研究者との交流を持つことができた。平成30年度に西行、長明、兼好ら中世の文学者について行った調査については、成果のとりまとめを急ぎたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時には、平成31年度は、西行、長明、兼好ら遁世者の研究を中心的に進める計画を立てていた。平成30年度にすでに調査は開始していたため、成果をまとめ発表を行いたいと考えている。 また、併せて調査を進めていた万葉歌人についての研究は、改元にあたり『万葉集』がにわかに話題となっている今日、こちらも成果の発表を急ぐべきと考えている。 平成31年度には、国際比較文学会(ICLA, International Comparative Literature Association)での研究発表がすでに内定している。ICLAでは、前年度までに実施した小野小町についての研究内容を、英語で海外に発信する予定である。
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Causes of Carryover |
発注した一部書籍の入荷が次年度になったことと、3年毎に開催される国際比較文学会大会の開催が次年度であり、旅費等を見積もり繰り越しを行ったことによる。
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[Book] 文明と身体2018
Author(s)
牛村 圭
Total Pages
296
Publisher
臨川書店
ISBN
978-4-653-04397-3