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2020 Fiscal Year Research-status Report

スペイン語圏における俳句受容プロセスの深化と歳時記編纂についての研究

Research Project

Project/Area Number 17K02667
Research InstitutionKyoto Sangyo University

Principal Investigator

井尻 香代子  京都産業大学, 文化学部, 教授 (70232353)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywordsアルゼンチン現代詩 / 地方を代表する詩人 / 季節感の共有 / 自然描写
Outline of Annual Research Achievements

アルゼンチンの俳句作家達が収集した以下の詩人たちの作品から、季語と用例のリストアップと整理を行った。

①マヌエル・ホタ・カスティリャ:「春」「夏」、全作品より(サルタ)②レオポルド・マレチャル:全詩集より(ブエノスアイレス)③ホセ・エルナンデス:エル・モレーノ、『マルティン・フィエロ』より(パンパ) ④フリオ・コルタサル:「雨粒の潰れ」、全短編集より、(スペイン、フランス、ブエノスアイレス)⑤アレハンドラ・ピサルニク:「日記」より(ブエノスアイレス)⑥アントニオ・エステバン・アグエロ:「木のカンタータ」(サン・ルイス)

スペイン語ハイクやタンカに限定せず、どのような事物の描写によって季節感を共有しているかを目的として、地方を代表する優れた現代詩人の作品中から季語と同様の機能を果たす自然描写の興味深い例を洗い出すことができた。
四季のそれぞれに、水辺(雪解川、枯川、大潮、熱い海、川の増水)、山類(装う山、雪山、藪の覆う山、七色の山)、天象(星月夜、凍月)、時候、動物(燕、ハチドリ、ツグミ、蝉)、植物(セイボ、クローバー、ハカランダ)、衣類(ポンチョ、コート)、生活(カーニバル、種蒔き)など、各地域の気候に密接に結びつきながらも、スペイン語という共通言語を用いて表現される風物の多様性が明らかになった。今後は、各季語の持つ意味の重層性、広がり等にも慎重に分析を進め、用例とともにデータベースを構築していく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

・2017年度はアルゼンチンのブエノスアイレス、サルタ、トゥクマンにおいて現代詩人の作品から季節感を共有する用例を収集した。
・2018年度はスペインのバルセロナ、アルバセテ、マドリードにおいてロマン主義・近代主義の季節・自然表現と日本の短詩型文学の季語システムとの共通点・相違点について情報交換を行った。
・2019年度はスペインのガリシア地方とバスク地方のハイク作品に現れる自然描写と日本の俳句の季語の類似に着目して資料収集を行った。
・2020年度は、アルゼンチン現代詩の用例を中心に季語的な機能を有する例を整理・分析した。
この1年間は、新型コロナ感染症拡大にともなう授業対応複雑化、教育カリキュラム運営業務の増大、研究会や現地調査の制限等により、研究推進は困難な状況となった。その中でも、収集した情報・資料の再検討や整理を実施し、不足している分野についてはITツールを用いて連携する研究者間で相互に協力し、補足しあうことができた。

Strategy for Future Research Activity

2021年度は、2020年度に実施する予定であったが、道半ばとなっているスペイン語圏各地の季語・季題の分類と整理の未実施部分を完成させ、「スペイン語歳時記」編纂のデータベースとして整備したい。その際、同じスペイン語圏でありながら、北半球と南半球、寒冷帯、温帯、亜熱帯など異なる地域の人々が、自らを取りまく多様な自然・文化環境に対してどのような視点と感性を持っているのか、多様性を統合するシステムに着目して分析を進める。さらに、このデータベースに基づいて、俳句が普及したこの100年間に起こった、スペイン語圏の人々の自然観・世界観の変容について考察をまとめる。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症拡大による教育・研究環境の変化により、昨年度実施・完成する予定であったスペイン語圏の季語の基礎的データベースが未だ完成に至っていない。また、現地調査の代替策として行っている連携研究者との情報交換など研究協力も、スペインやアルゼンチンの社会状況の厳しさから遅れている。
次年度は、現在のような状況が続いたとしても、すでに収集した資料の整理を進めて集約し、データベース構築に向けて完成の見通しを立てている。また、通信環境の整備も進んできたので、現地の季語・歳時記の進捗状況を確認し、一定の成果を学会発表や論文という形で公刊したい。
そのため、学会参加費、通信費、物品費(コンピューター周辺機器)として残額を使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Presentation] Literatura Hai actual en espanol2020

    • Author(s)
      Kayoko Ijiri
    • Organizer
      Encuentro Internacional de Haiku
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2021-12-27  

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