2022 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research on morpho-phonological phenomena in Amakusa dialects of Japanese: Towards construction of dialectal typology
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17K02689
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
松浦 年男 北星学園大学, 文学部, 教授 (80526690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 邦彦 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 准教授 (80613380)
佐藤 久美子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (60616291)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 方言コーパス / 方言データベース / 形態音韻論 / 促音 / 重子音 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍にあったため,最終年度は新規のフィールド調査は行わず,コーパスやデータベースの作成と研究成果の発表を中心に行った。(1)方言辞典から有声阻害音や共鳴音が重子音で表れた語形と用例,地点を抜き出し電子データにした。このデータを活用することで有標な音構造の地域分布や形態的な特徴を捉えることができる。(2)ラ行音節の形態音韻現象の方言類型を明らかにするため,コーパスを用いて促音化と撥音化の調査を行った。その一部を国立国語研究所「言語資源ワークショップ2022」にて発表した。(3)鹿児島方言を中心に書かれた音韻論の著書への書評を公刊した。 研究期間全体の成果を記す。(1)学術誌に天草市深海方言における有声阻害重子音の分布を記述した初めての論文を公刊した。また,当該論文では調和的最適性理論を用いた分析を提示することで,標準語や他の言語との関係で位置づけることができた。(2)イントネーションに関しては,天草本渡方言における呼びかけイントネーションならびに不定語のイントネーションに関する論文を専門書の一部として公刊した。呼びかけイントネーションについては九州地方での記述が進んできている現象であり,当該論文はその中に位置づけることができる。また,不定語のイントネーションについて当該論文は天草本渡方言だけにとどまらず複数の方言について一貫した視点から記述している。いずれの現象もまだ記述の進んだ分野ではなく,本研究により進展が見込まれる。(3)天草諸方言と関連のある北薩摩方言の音節構造を分析し,国際学会において発表した。(4)研究成果の公表の一環として「言語学フェス」を実施(共催)した。当該イベントは一般に開かれた形で行われ,400名以上の参加があり,オンラインでの言語学系イベントとしては最大規模となった。(5)一般向け書籍の刊行ならびに講習会を実施した。
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Research Products
(3 results)