2017 Fiscal Year Research-status Report
トルコ諸語のプロソディーをふまえた通言語的実験音声学研究
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17K02690
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
福盛 貴弘 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (00407644)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トルコ語 / 音節構造 / 音節 / トルコ諸語 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、アクセント体系と密接な関係性を持つ音節構造に関して精査を行なうために、トルコ語において、本国での母語辞典の見出し項目(62,722件)をすべて入力し、そのすべての音節(223,539件)を抽出し音節構造一覧(3,450パタン)を示した。トルコ語において、基本音節構造は(C)V, (C)VC, (C)VCCとなっているが、これらの割合は以下のとおりである。(C)Vは、CV48.0%、V3.8%の計51.8%。(C)VCは、CVC42.2%、VC3.7の計45.9%。(C)VCCは、CVCC1.5%、VCC0.2の計1.7%。その他の構造については、0.6%であった。頻度順では、2000件を超える音節構造は、ma 6045, me 4276, mak 3821, la 3511, a 3436, ka 3254, mek 2927, li 2793, lik 2617, lik(点なし) 2584, le 2514, ya 2275, ta 2242, li(点なし), ra 2087であった。ma, mak, me, mekについては辞書の見出しとして動詞の連体形として、lik, lik(点なし)については形容詞化接辞として示されているので、辞典を対象とした調査で多数となるのは当然と言えよう。この結果をふまえて、トルコ諸語における通言語的傾向を調べ始めており、その一部の成果を口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
音節構造の調査に時間がかかってしまったが、次年度以降にトルクメン語の基本母音や音調に関する成果を報告できる準備が整っているため、飛躍的な進展はなかったが順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
トルコ語の音節構造の結果をふまえ、トルコ諸語における音節構造の分析は進んでいる。今年度は辞書の見出し項目すべてを対象としたが、次年度以降は新聞や文芸作品など実際に書かれた文章を対象とし、辞書項目との異同点を探っていく。また、トルクメン語の基本母音や音調の特徴とふまえ、トルコ語と対照することによって、より通言語的な分析が進展すると予測できる。
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Causes of Carryover |
本年度は文献に対するデータ処理が主たる研究となり、それに伴う人件費にとどまってしまったため使用額が少なかった。次年度は、新たな分析器材の導入や記述調査や学会発表などにおいて執行する予定である。
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