2019 Fiscal Year Research-status Report
言語欺瞞コミュニケーションの認知語用論的分析と欺瞞回避の実践訓練法構築
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17K02701
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
小山 哲春 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (60367977)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | データ収集 / 理論(モデル構築) |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に続き、主に誤推論を介した欺瞞(DtFI)における言語メッセージ産出および解釈の認知的メカニズム解明(異文化比較を含む)のため、主にデータ収集と理論的モデル構築に取り組んだ。様々な文脈での欺瞞(DtFI)メッセージの観察、収集を目的とし、主に、自然発生的データとして(1)政治家を含めた公人のインタビュー(公開アーカイブ)、(2)広告等の宣伝のメッセージ、(3)日常に観察される対人コミュニケーションを観察・記録した。また、統制データと(4)ElicitationTask法を用いた意図的欺瞞メッセージの収集デザインを構築中である。現在収集中のデータを分析し、言い逃れ・遁辞にとどまらず、言語的欺瞞 の広範なデータベースの作成を行なっている。 2020年度は、改めて2019年度当初の計画に従い、主に以下の二つの課題に取り組む予定である:(1) DtFI効果検証:理論構築の基盤として、DtFIの様々な類型に関して、その効果(受け取り手の受ける印象)を実験的な手法で観測し、どのようなDtFIメッセージデザインの効果が高いと判断されるか、統計的Message Effect分析(Jackson, 1992)を用いた分析を行う。(2) 認知メカニズムのモデル化:言語学(語用論)、社会心理学(コミュニケーション学)、進化心理学等の知見を応用し、社会認知語用論(Tomasello, 2010他)という枠組みで、DtFIにおける(誤)推論のメカニズムを明らかにし、これをモデル化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の本務校における学科主任拝命や、所属学会での副会長就任などにより研究の進捗が捗々しくなく、昨年度に続き、欺瞞(DtFI)言語メッセージのデータ収集において、特に自然会話での欺瞞メッセージの収集が予定通りには進んでおらず、理論的モデルの検証のために十分なケース数が達成されていない。今後データ収集の速度を加速させ、特にWeb(SNS)のおけるデータ収集方法を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長を申請し、これが認められた。2019年度は十分な進捗が得られなかったため、2020年度は2019年度と同様の計画を遂行する。具体的には、収集したデータに基づきつつ、主に以下の二つの課題に取り組む予定である:(1) DtFI効果検証:理論構築の基盤として、DtFIの様々な類型に関して、その効果(受け取り手の受ける印象)を実験的な手法で観測し、どのようなDtFIメッセージデザインの効果が高いと判断されるか、統計的Message Effect分析(Jackson, 1992)を用いた分析を行う。(2) 認知メカニズムのモデル化:言語学(語用論)、社会心理学(コミュニケーション学)、進化心理学等の知見を応用し、社会認知語用論(Tomasello, 2010他)という枠組みで、DtFIにおける(誤)推論のメカニズムを明らかにし、これをモデル化する。また、対人コミュニケーション能力の基盤に認知的複雑性(cognitive complexity)や視点取込み(perspective taking)能力があり(Burleson & Caplan, 1998)、また自分や他人のコミュニケーションスタイル(MDL)に関する理解(O’Keefe &Lambert, 1995)などが深く関わると仮定し、これがDtFIの産出・解釈に与える影響を検証する。それぞれ200名程度の日本語・英語母国語話者のサンプルのDtFI産出管理・解釈能力、認知的複雑性・コミュニケーション・スタイルを測定し、変数間の相関(共分散)分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本務校における業務過多(学科主任拝命)および所属学会での副会長就任などにより研究進捗状況が芳しくなく、多くの計画が翌年度に繰り越しとなった。特に、データベース構築のための費用を支出できていない。2020年度に改めてデータベースの構築に取り組み、この支出を行う予定である。
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Research Products
(1 results)