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2019 Fiscal Year Research-status Report

Structural study on dynamism of development and transformation of immigration languages

Research Project

Project/Area Number 17K02720
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

張 盛開  静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (00631821)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords客家語 / 語彙比較 / 童謡 / 文化
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、平江天林客家語、平江連雲客家語、台湾台中客家語、梅州客家語のそれぞれの語彙を転写したデータの確認作業を行った。塘坊で録音した語りの文字転写に専念し、口語コーパスの容量を増やした。これらの口語コーパスを活かし、塘坊客家語の分析と記述を進めている。成果は主に下記の通りである。7月、第二回南方漢語方言学会にて塘坊客家語の現地調査の実例やデータに基づき、「口語コーパスの調査」というテーマで講演を行った。
9月、「童謡からみる方言と文化」というテーマを元に、「「一帯一路」視点における言語文字の研究シンポジウム」(中国海南師範大学)にて研究報告を行った。これは塘坊客家語をはじめとする湖南省の方言における童謡を対象に研究したものである。研究結果から童謡の文化的特徴として、素材、概念、形式などにおける類似性がみられ、教育的な役割を担うものが多いことが言える。遠く離れている地域でも類似したような童謡が見られた。10月より、データの採集範囲を湖南省から全国に地域を拡大し、全国の童謡を1000ほど収集し、分析を行った。その結果をまとめ、12月、第七回海外漢語方言学会(中国嶺南師範学院)にて、「童謡の言語と地域特徴」というテーマで研究報告を行った。童謡の言語特徴には押韻、押字(同じ字で童謡を構成する)、同音による文字交替、語彙によるしりとり、問い詰め、重複が見られる。地域的特徴では、異なる方言地域ではそれぞれの流行りの童謡が見られるということは各地の童謡にはその地域の言語と特徴を反映している。
第13回客家語国際学会(平成30年8月)にて報告した「客家語語彙の比較―平江客家語を中心とする」を加筆修正し、学術誌に掲載した。本論文は語彙の比較を通して、平江県内部における客家語は互いの交流が少ないにもかかわらず語彙における統一性が高いことが判明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成29年度はできるだけ多くの資料を収集し、一次分析をしつつ整理と質を高める工夫をした。また収集と分析整理の段階に応じて学会などで報告した。発表の場としては、世界各国から中国の言語の研究者が集まる国際中国言語学会(IACL)が適切であり、IACL26に採択され、平成30年5月に研究報告を行った。研究方法として主に実地調査を行い、他言語や方言の分析法に倣い、調査結果を精密に分析し、仮説を立てて、再調査で裏付けた。塘坊客家語に重要な影響を与えたと推定される梅県客家語 や台湾の客家語も調査した。30年度は1地点(Ganzhou)の客家語データを採集した。これにより手元の資料に加え、全部で8地点の客家語基礎語彙1200の調査 データを持っていることになる。これらの語彙データの比較対照により、各地の客家語の語彙変遷がわかり、語彙に関する移民言語の展開・変容のダイナミズム の解明に役に立つ。録音資料を文字化し、口語コーパスを作成し、文法や音韻特徴を調査する予定であった。これに関しては、現地調査では語彙データを採集すると同時に物語や地元の案内、家族史などについての語りのデータも採集している。これらの語りは極めて自然な状態の下で採集したものであり、より自然な音声や文法現象を調べることができる。現に、塘坊では語りから文字化したデータが25,000字あり、試験的な分析だけでもすでに多くの発見がある。その詳細な内容 は今後少しずつ学会などにて報告していく予定である。30年度は二回国際会議にて報告を行った。31年度/令和元年は童謡を中心に研究した成果を二回国際会議にて報告を行った。口語調査の経験を生かせ、塘坊客家語のデータに基づき、口語調査の方法、データの整理及び分析についての講演を行った。論文は一篇しか完成できていない。

Strategy for Future Research Activity

今後は、引き続き手元のデータを整理していく予定。未整理データとして、基礎語彙では、湖南省資興黄草方言とGanzhou客家語がそれぞれ1200 あり、語りデータとしては、湖南省資興黄草方言と塘坊方言の長時間の録音や録画ビデオを採集できている。これらのデータの整理、特に文字転写に関しては 地元の話者の協力を仰ぎ、集中的にできるように、話者を日本に招聘することも視野に入れる。音声データの文字転写を進め、口語コーパスのデータを増やし、文法研究を進める。令和2年度は音声データ、文字データ、映像データの統合や分析を行う。塘坊客家語の全体データに対する分析結果を国内外の学会にて発表し、その内容を論文にまとめる。データの整理に関してはソフトウェアEmEditior、Toolbox、Elanを活用する。データの分析にはツールAntconcを用いる。情報の公開に関しては、収集したすべて の音声、映像、文字データをまとめた出版、音声や画像データはネット上で公開利用できるような段取りを組む。手元の客家語資料は、湖南省、広東省、江西省、台湾より収集しており、きちんと整理して一般の方でも利用できるように公開する。方言資料について綿密な分析を行い、論文にまとめて学会誌に投稿するなどして、研究成果の公開や発信、更にはその他の少数言語の研究や資料の保存、社会への還元に努める。代表者はコンサルタントから提供された資料を整理し、研究成果を地元へ還元することを考えている。観光地化されつつある地元で、方言関連の観光客向けイベントの開催や資料の展示を行い、地元の潜在的な話者の 開発に努めている。

Causes of Carryover

今年度は学会発表を3回実施したが、データの収集や分析に予想以上の時間を要してしまい、結果的に論文作成までには至らなかった。それに加え、学内では入試担当の業務等と重なり、通年に渡る業務が煩雑となり、特に年度末にはその関係業務で日々の時間が割かれてしまったため、学術誌などに投稿できるような論文にまとめる余裕がなかった。ゆえに、研究期間を延長し、分析を進め、論文の作成と投稿をして行きたいと考えている。
使用計画としては、今まで収集した動画などを含む大量なデータの処理を行うため、高性能のデスクトップパソコンを購入する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 2 results)

  • [Journal Article] 平江県内客家語語彙の対比研究2020

    • Author(s)
      張盛開
    • Journal Title

      静言論叢

      Volume: 3 Pages: 155-170

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 口語コーパスの調査2019

    • Author(s)
      張盛開
    • Organizer
      第二回南方漢語方言学会
    • Invited
  • [Presentation] 童謡からみる方言と文化2019

    • Author(s)
      張盛開
    • Organizer
      「一帯一路」視点における言語文字の研究シンポジウム
  • [Presentation] 童謡の言語と地域特徴2019

    • Author(s)
      張盛開
    • Organizer
      第七回海外漢語方言学会
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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