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2018 Fiscal Year Research-status Report

日本語現場指示詞の方言差の解明

Research Project

Project/Area Number 17K02775
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

堤 良一  岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80325068)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岡崎 友子  東洋大学, 文学部, 教授 (10379216)
藤本 真理子  尾道市立大学, 芸術文化学部, 准教授 (10736276)
長谷川 哲子  関西学院大学, 経済学部, 准教授 (20368153)
松丸 真大  滋賀大学, 教育学部, 教授 (30379218)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords指示詞 / 現場指示 / 方言 / 共同注意 / 直示
Outline of Annual Research Achievements

本年度は計画書に基づき多くの地点で現場指示詞のデータの取得を目指した。まず、4月~6月にかけて、昨年度に徳山市と尾道市、松山市で行ったデータの整理と分析を行った。全体として、仮説しているほどにははっきりと方言差が現れないことが分かった。そこで、2018年7月に滋賀大学において会議をもち、実験の方針を変更せざるを得ないことを確認した。具体的には、話し手と聞き手とを同じ列に配置するのではなく、話し手を教室の角に、そこから斜めに5m程度の距離をとり、教室前方、真ん中よりの座席に聞き手とを配置する方法をとることとした。この配置は、計画書の申請段階で事前調査でとっていた方法であるが、この配置に戻したわけである。実験の方法には両者に善し悪しがあるが、結果を明瞭に見せるために元の方法に戻した。この方針に基づき、2018年8月に岡山で予備調査を、2018年11月、2019年2月に岡山市、尾道市で調査を行った。現在調査結果の分析を行っているところである。
また、実験の段階において、平田未季氏のとなえる「共同注意」の概念に着目する実験を行うという着想を得、尾道市立大学においては追加実験として新たなデータを取得することに成功している。これは、平田氏が、話し手と聞き手とがすでに共に注意している対象にはソノが用いられやすく、そうでない場合には別の指示詞が用いられるとすることに着目し、もしそうであるとするならば、共同注意が確立されていない場合には我々の仮説どおりアノが増え、共同注意が確立されている場合にはソノとなるのではないかという着想に基づいている。
本年度はデータ収集と分析を中心に行い,次年度の成果公開を目指すものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

やや遅れていると判断する。当初計画していた実験計画では期待していたデータが集まらなかったことが大きな原因としてあげられる。途中で実験の方法を変えたために、新たにデータを取得することになった。そのため、全国での調査が遅れている。
一方で、実験の途中で共同注意概念に基づくデータを取得することができたのは、当初の計画書にはなかった成果である。昨今の現場指示の指示詞の研究においては、この概念への言及が多くなされるために、実際の使用で本当に共同注意が確立している場合と、そうでない場合とで指示詞の使用に差があるのか、またその方言差はどうであるのかについては調査する必要があるだろう。

Strategy for Future Research Activity

本年度については上述の遅れを取り戻すべく精力的に実験を行っていく予定である。特に本年度は岡山市と尾道市とでデータをさらに収集し、ついで松山市へと展開するグループ(堤、藤本)と、近畿方言を調査するグループ(松丸、長谷川、堤)、さらに首都圏でのデータ収集(岡﨑)とを同時進行させる。8月から9月にかけてデータをもちより、分析を行う。本年度は方言という観点もこれまでどおり取り入れるが、さらに個人差についても注目し、たとえばある地点をアノで指す話者が、別の地点でどのような指示詞を用いるか、それが、同じ地点をソノで指す話者とどのような違いを生じるかということについても分析を進めたいと考えている。
いずれにしても、それらの分析の結果については年度の後半にかけて学会での成果公開や報告書作成という形で公開し、学界、社会に貢献する資料としたい。

Causes of Carryover

次年度使用額は藤本真理子氏と松丸真大氏によって発生している。これは、昨年度末に実験方法を変更したために、今年度に継続して同様の実験をするために使用するために残しているものである。

  • Research Products

    (16 results)

All 2019 2018

All Journal Article (10 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results)

  • [Journal Article] 経験を語る談話における接続詞使用 ―「そして」の使用について―2019

    • Author(s)
      長谷川哲子
    • Journal Title

      『エクス言語文化論集』第11号

      Volume: 11号 Pages: 101-122

  • [Journal Article] 「指示副詞の形式と意味―古典語・甑島方言を通して」2019

    • Author(s)
      藤本真理子
    • Journal Title

      『鹿児県甑島方言からみる文法の諸相』

      Volume: なし Pages: 229-248

  • [Journal Article] 指示詞+助詞」による文連接の一考察―現代語・中古語コーパスの対照から―2018

    • Author(s)
      岡﨑友子
    • Journal Title

      『日本語文法史4』

      Volume: 4 Pages: 1-21

  • [Journal Article] 現代語・中古語の観念用法「アノ」「カノ」2018

    • Author(s)
      岡﨑友子
    • Journal Title

      『バリエーションの中の日本語史』

      Volume: なし Pages: 119-138

  • [Journal Article] 頃」の用法と歴史的変化―現代語・中古語を中心に―2018

    • Author(s)
      岡﨑友子
    • Journal Title

      『形式語研究の現在』

      Volume: なし Pages: 75-102

  • [Journal Article] 直接経験が必要ない記憶指示のアノ2018

    • Author(s)
      堤良一
    • Journal Title

      『バリエーションの中の日本語史』

      Volume: なし Pages: 139-156

  • [Journal Article] 第二言語習得と普遍文法の利用可能性-束縛理論を中心に-2018

    • Author(s)
      睦宗均・堤良一
    • Journal Title

      『日本學報』

      Volume: 115 Pages: 66-83

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 関西方言における名詞・形容動詞述語否定形式ヤナイ・ヤアラヘン・トチガウの諸用法2018

    • Author(s)
      松丸真大
    • Journal Title

      藤田保幸・山崎誠編『形式語研究の現在』

      Volume: なし Pages: 443-462

  • [Journal Article] 甑島里方言の文法概説2018

    • Author(s)
      松丸真大
    • Journal Title

      鹿児島県甑島方言からみる文法の諸相

      Volume: なし Pages: 121-155

  • [Journal Article] 「中古のカ(ア)系列とソ系列の観念指示用法―古典語における知識の切り替わりから―」2018

    • Author(s)
      藤本真理子
    • Journal Title

      『バリエーションの中の日本語史』

      Volume: なし Pages: 103-118

  • [Presentation] 「裸の助詞の出現可能性に関する日韓の相違について」2019

    • Author(s)
      堤良一・朴秀娟
    • Organizer
      韓国日本語学会
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 「古典語・現代の文脈指示と文体」2019

    • Author(s)
      藤本真理子
    • Organizer
      国立国語研究所プロジェクト「対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法」
  • [Presentation] 日本語史研究とコーパス活用―その利点と注意点―2018

    • Author(s)
      岡﨑友子,渡辺由貴,宮内佐夜香,橋本行洋
    • Organizer
      日本語学会2018年度春季大会ワークショップ
  • [Presentation] 普遍文法と第二言語習得の関連性―束縛理論を中心に-2018

    • Author(s)
      堤良一・睦宗均
    • Organizer
      韓国日本学会第96回国際学術会議
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 「引き上げ方式による「生の日本語」を用いた教授法の可能性」2018

    • Author(s)
      堤良一
    • Organizer
      日本語プロフィシェンシー研究学会
  • [Presentation] Interpreting Linguistic Maps Using GIS: A Case from Shogawa River Basin Area in Toyama2018

    • Author(s)
      Michio MATSUMARU
    • Organizer
      Komatsu Round-Table Conference on Geo-linguistics: Interpretation of Linguistic Maps
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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