2021 Fiscal Year Annual Research Report
Dialectal Differences in the Japanese demonstratives of the exophoric use
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17K02775
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堤 良一 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (80325068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 友子 東洋大学, 文学部, 教授 (10379216)
藤本 真理子 尾道市立大学, 芸術文化学部, 准教授 (10736276)
長谷川 哲子 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (20368153)
松丸 真大 滋賀大学, 教育学部, 教授 (30379218)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 指示詞 / 現場指示用法 / 方言 / 心的態度 / 共同注意 / 距離区分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語の現場指示用法の方言差について調査するべくスタートした。しかしながら、2019年度末からのコロナ禍の影響で、実際の実験を行うことが不可能となった。その結果、本研究の最終目標であるところの、現場指示用法の方言差について解明することはできなかった。それでも、岡﨑友子氏が、2019年に行った実験の結果を論文としてまとめられ、現場指示用法において、話者の対象への心的態度が指示詞の選択に影響することがわかってきたことは、大きな成果の1つとして挙げられる。 研究期間後半においては、実験を行う代わりに指示詞の理論的な研究を行った。その中でも、現場指示用法や文脈照応用法とは異なる、基準指示用法を複数発見した。これらは、これまで指示詞研究の中で例外であるとか、イディオムであるとかして片付けれててきたものであるが、これらが理論的に見れば、共通した特徴を有しており、かつ、歴史的に見ても日本語の中に古くから存在する形式であることを見出した。この成果は、堤良一・岡﨑友子(2022)として世に問うている。 一方、我々の研究チームとは別に琉球諸語の指示詞を扱う衣畑智秀氏の研究、現場指示用法を、これまでの研究の大前提であった距離という概念を用いずに説明しようとする平田未季氏の研究などが出て、我々の立場との比較、検討を行う必要が出てきた。この点については始めたばかりであるが、特に平田氏の研究においては、自然談話データを用いて、コ系指示詞が現場指示用法においては距離の指定を受けないものとされている。しかし、我々が本研究で実験により得たデータからの分析では、コ系指示詞が距離の指定を受けないと結論づけるには無理があるように思われる。今後は、新たな議論も含めた形でこの点についての解明を行っていかなければならないだろう。
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Research Products
(13 results)