2020 Fiscal Year Annual Research Report
Discourse presentation in present-tense narratives
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17K02820
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
池尾 玲子 専修大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (20216485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 雅之 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (00733403)
重松 恵梨 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 助教 (80884113)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 英語学 / 文体論 / 話法 / 21世紀現在時制小説 / 20世紀過去時制小説 / 物語の語りの時制 / 直接話法 / 間接話法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年増加傾向にある現在時制で書かれた英語小説の語りを、従来の過去時制による語りとの差異が顕著に現れる話法に着目して、その文体的特徴を解明することを目指した。小説における話法を分析する手段として、2つのコーパスを作成した。1つは既存のランカスター大学による話法のコーパスから20世紀の小説の部分を抜粋し、一部を改変したものであるが、これは過去時制のテキストから成っている。もう一方のコーパスは2000年以降に出版された現在時制で書かれた小説のテキストから成るコーパスである。この2つのコーパスに品詞のタグだけでなく、Semino and Short(2004) によって提案された話法のカテゴリーをタグ付けし、直接話法、間接話法、自由間接話法などが2つのコーパスでどのように使われているかを数量的・質的両面から比較検証した。現在時制の小説においては、語り手の視点が登場人物に近く、物語の展開を推進する働きが、過去時制の小説の語り手に比べて抑制されたものになる一方、登場人物の会話、思考が前面に表出し、より登場人物の視点に重きを置いた構成となっていることが検証された。また、現在時制の小説では登場人物の社会、人間関係における認識が時間空間的に「今、ここ」に集中している傾向も確認された。 現在時制を語りに使うことが一般的になったのは今世紀になってからであり、総合的なデータを入手して用いた本研究は、現在時制小説を話法から分析した最初のものであり、その知見は今後の現在時制小説研究に貢献するものである。 研究期間を通して3名のメンバーが毎年国際学会において進捗状況を報告するとともに、国際学術誌に成果論文発表した。
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Research Products
(2 results)