2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of course materials of Sino-Japanese words including a long vowel: by analogy with the Chinese reading and utilizing phonetic elements
Project/Area Number |
17K02837
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
黒沢 晶子 山形大学, 人文社会科学部, 非常勤講師 (50375333)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 漢字音 / 音符 / 長音 / 清濁 / 中国語母語話者 / 非中国語母語話者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度に引き続き、漢字音学習に音符がどのくらい活用できるのかについて、音符の50音順に常用漢字の字音を網羅的に調査した。常用漢字2136字中、音訓表に字音があるのは2060字で、2字以上の常用漢字を持つ音符グループが454、それらに属する常用漢字が1452字あった。音符字と同音の漢字は、異音を持つグループも含めた全体の字数で見ると、974字(約67%)に及ぶ。 字音1種類の音符グループ(例 音符 司:司 詞 飼 伺 嗣)が192(約42%)あって最も多く、次いで字音2種類のグループ(例 音符 小:小 消 肖 硝 宵;削)が186(41%)、3種類(例 音符 且:組 祖 狙 粗 阻 租;査 助)48、4種類以上(例 音符 尚:賞 償 尚 掌;党 常 堂)27であった。字音2種類までで全体の約83%を占める。二つ目の字音と字の組み合わせまで覚えれば、大多数の漢字の字音が類推できると言える。字音1種類のグループを学習レベル別に分け、字音2種類以上の音符グループについては、音符学習の対象とするかどうかを学習のしやすさを念頭に判断し、教材に修正・加筆を行った。なお、異音が多く音符学習が効果的でないもののうち、声母が同定しやすく、-ngや-aiで終わるなど、ピンインからの類推が有効な音符グループは約12%と限られていた。 同じ音符を持ちながら字音が複数あるものには、昨年度取り上げた清濁、鼻音・非鼻音、入声・非入声等のほかに長さの違いがある(例:保 ホ、褒 ホウ)。その要因には、日本語の音節構造からみた字音受容と変化の歴史という側面が関わっている。また、もう一つの要因として、特定の字音(例:打 ダ、音符:丁 チョウ・テイ)を含む語がある時期に数多く作られ、高頻度に使われるようになったという語彙史の一側面がある。後者については、中世の文献、日本語歴史コーパス等を用いて調査を行った。
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Research Products
(2 results)