2018 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of Second Language Education for Authentic Assessment: Connecting Classroom and School to Social
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17K02843
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
南浦 涼介 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60598754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 祐治 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (70352424)
三代 純平 武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授 (80449347)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 評価 / 可視化 / コミュニティ・オブ・プラクティス / 価値の物語化 / エンパワメント / 日本語教育 / 文化資本・社会関係資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)実践の可視化と評価についての実践的調査的研究の成果 三代によって武蔵野美術大学と地域の留学生と地域の組織が日本語教育実践を通して交流し、それによってそれぞれの組織と留学生がどのような評価と成長をなしているかの連動を検討している。また、中川によって地域のX村プログラムの活動を通して、その活動の関わりと場への評価が結果的にいかにコーディネーターを成長させていったかを検討した。また、南浦は地方都市の外国人児童生徒の多い小学校がどのようにして学校づくりを通して、地域と学校が繋がり、多様性に対する評価を向上させていったかを検討した。
(2)日本語教育における評価研究のレビュー研究の成果 日本語教育の研究分野において「評価」というものがどのような歴史的展開を追っているのかをレビューし、レビュー調査としてまとめた。これによると、a) 日本語教育における評価は,70年代からパフォーマンス課題を取り入れた現在の真正の評価につながる評価が取り入れられ,80年代にすでに学習者と社会をつなぐための評価という視点があったこと。ただし,これらの評価は,学習者個人を対象とし,数値化や指標化により価値を可視化しようとしている点で,教育実践の価値を示す上での限界があること。b)一方,近年の『日本語教育』の中にあるいくつかの実践報告では,実践を可視化し,それによって日本語教育の実践共同体を社会的にエンパワメントしていこうとするものが存在する。そこには,映像化などの手段により,実践の価値を「物語化」することで共有しようという試みが見られること。が明らかとなった。これらの研究レビューを通して、本研究が日本語教育における研究的価値としての位置付けをどのように行うかが明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた、実践とその可視化による評価の関係性については、それぞれのケーススタディの蓄積によって具体と枠組みが確定してきている。また、当初の想定していた研究計画に加え、日本語教育、学校教育における「評価」の歴史的展開を追ったことにより、研究の枠組みと本研究の位置付けがより明確になっている。 研究のフレームワークとしては、以下のものが確定された。a)日本語教育研究における実践と社会をつなぐ研究の系譜が過去にも存在し、それをつなぐ役目を持っていること。b)ただし従来の評価はあくまでも「個人」を対象にし、それを数値化と指標化という観点から価値付けを行うことを想定し、それを「評価」と呼んできたこと。c)学校教育研究においても、パフォーマンス評価などを始め、真正の評価論が入ってきているが、b)と同様に、「個人」を想定した指標化を評価とみなす傾向が強いこと。d)一方で、コミュニティ・オブ・プラクティスなどの組織成長論の勃興の観点を見ていくことにより、組織評価、その中における実践と組織体の成長の関係性などの観点はこれまでの評価研究には希薄であることも明らかとなった。こうした観点は、本研究の重要な観点の形成として役立つことになった。 また、同様に、昨年度からの蓄積として、研究代表者と研究分担者が行なっている実践や調査が、そうした上のフレームを具体化し、意味付けていくものとして機能している。 こうしたフレームの確定、具体的実践の展開と意味付け、それらの実践が担当者に共有されることによって生まれる新たな実践が有機的に展開し始めている。 これらが進捗として(2)として評価可能だと考えられる。今後、これを「研究成果の社会的発信」として位置付けていくことが重要となろう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)の研究推進は、主として「研究成果の発信」である。これは次のような研究計画となっている。 ●学会発表 1)複数の学会における個別のケースの発表を検討する。ここで、事例からコミュニティ・オブ・プラクティスとしての実践とその評価の関係性についての提示を行う。2)教育系学会において、ラウンドテーブルを行い、実践の可視化と評価の関係性について事例の重ね合わせから学校教育関係に向けて発信をする。3)日本語教育系学会で評価研究の歴史的展開についてのレビュー研究発表を行う。 ●学会誌発表関係 1)学校教育系学会誌に対して、評価研究の歴史的展開を述べ、「価値の数値化・指標化に対抗する価値の物語化」についての理論的研究を発信する。2)日本語教育系学会誌に対して、日本語教育における評価の歴史的展開のレビュー研究を発信する。 ●そのほか 今年度は計画上最終年度であるが、本研究の発展方向を検討し、次の科研への挑戦と、「評価が生み出す実践のコミュニティ」という視点からの書籍を構想する。
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Research Products
(2 results)