2017 Fiscal Year Research-status Report
「ボイスサンプル」を応用した日本語音声指導の研究と開発
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17K02866
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
王 伸子 専修大学, 文学部, 教授 (10233016)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ボイスサンプル / プロジェクトワーク / アクティブラーニング / ワークショップ / 教師研修 / ナレーション / 古典作品 / 年少者教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は以下の3点であった。 ①日本語教育の現場で、音声を指導する教師にとって支援が必要な点を調査する。 ②「ボイスサンプル」の作成方法とその効果を検証し教材としての可能性を研究する。 ③「ボイスサンプル」を作るというプロジェクトワークに基づく新しい音声指導法を提唱し、シンポジウムおよびワークショップをを開いて公開する。 ①については、学会発表や現地調査により、とくに海外の日本語教育の現場において、学習者のレベル、目的、年齢などでさまざまな必要性が明らかになり、当初、想定していなかった、中等教育での使用や、古典日本語を学ぶ際の教材のための使用などにも可能性があることがわかった。②については、数多く作成した結果、音響に配慮した教室内での録音装置の作成や、使いやすい無料のソフト(Audacity)で編集することにより、プロのナレーターが作成するものと同じように音楽をつけた作品に仕上げる方法などを開発した。③については、平成29年度中に、国際交流基金香港、サイモンフレイザー大学(バンクーバー)、カルガリー大学、国際交流基金シドニー日本文化センター、国際交流基金トロント日本文化センターなど、5か所でボイスサンプルプロジェクトワークショップを、慶煕大学(韓国)でシンポジウムをおこない、とくに海外の日本語教師にボイスサンプルの作り方と、それを日本語教育の指導に取り入れる方法について公表し、理解を得ることができた。 このワークショップを通して、聞き取り調査もおこない、さらに、ワークショップ用のウェブサイトも作成し、日本語教師の教材作成を支援することもできた。すでに、引き続き取り入れていきたいという報告や、今後のボイスサンプル作成へのリクエストも得ており、次の年への課題も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
夏の学会で「ボイスサンプルプロジェクト」なる指導法を発表し、その利用の方法を指導するワークショップを計画していると広報したところ、予想以上の反響があり、国際交流基金の香港、シドニー、トロントの各日本文化センターより招聘をいただき、さらにサイモンフレイザー大学、カルガリー大学、慶煕大学からも招かれ、科研費の成果であるとして招待講演(ワークショップ)を行うことができた。その結果、国ごとの日本語教育現場で、音声指導についてさまざまな要望を聞くことができ、また、このプロジェクトを積極的に取り入れたいという教師、研究者の協力も得ることができた。計画当初より、初年度に多くの国でワークショップを行うことができたので調査も進み、次年度への課題もさらに明確になった。また、プロのナレーターの指導を受ける研究会を開くこともでき、ナレーターの指導者ともコンタクトも取り、研究代表者、協力者も、基礎的な指導を受けることもできた。このことも、ボイスサンプルプロジェクトの研究を急速に進める原動力となった。これについては次年度も引き続き、プロのナレーターとコンタクトを取り、続けて行く予定である。 また、録音作業も伴う研究であるが、これについても、Panasonicの音響の研究者の協力を仰ぐことができ、教育現場である教室内で、条件のよい録音が可能となる簡単な装置も開発する知識を得ることができ、この方面でも予想以上の収穫があった。 研究期間の最後にホームページを作成するこということを目標の一つとして掲げているが、すでに、ワークショップのために簡単なウェブページを作ることができ、これも当初の計画より早く実現したので、2年目にはこのサイトをさらに改良して使用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
あたらしい音声指導法である「ボイスサンプルプロジェクト」について、さらに、香港大学と、台湾の交流協会、そしてアメリカの教師会からもワークショップの依頼を受けており、順次実施する予定である。国内の大学からも依頼があり、6月にワークショップを実行する予定である。また、この成果を、複数の学会で、a.ボイスサンプルについて、b.ワークショップと教師研修について、発表しする予定である。すでに、5月にプリンストン大学で、8月にヴェネツィアの国際大会で発表することが決定している。また、論文としても投稿し、発表する準備をしている。
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