2018 Fiscal Year Research-status Report
「ボイスサンプル」を応用した日本語音声指導の研究と開発
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17K02866
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
王 伸子 専修大学, 文学部, 教授 (10233016)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ボイスサンプル / 言語学習の4技能 / 聴解 / ICT / 実践研究 / ワークショップ / 教師研修 / ウェブサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(2017‐2018)にボイスサンプルを教材として授業に取り入れるという提案を発表して以来、複数回にわたる教師研修を実施することができた。初年度は、香港日本語教師会、カナダ(バンクーバー教師会、カルガリー南アルバータ教師会)、オーストラリア(国際交流基金シドニー日本文化センター)で実施したが、それに引き続き、昨年度(2018‐2019)は、カナダ(国際交流基金トロント日本文化センター)、甲南大学で実施した。 ボイスサンプルプロジェクトが日本語教育の授業の中で、読む、書く、聴く、話すという4技能のブラッシュアップに貢献するということを説明し、実際にどのように学習者を指導するのかという方法を伝え、、ボイスサンプルの具体的作成方法を指導するワークショップという形で教師研修を実施した。それによって、日本語教師の新しい教材と、学習者が自律的に4技能の学習に関わることができる教材を提供することができ、なおかつ、日本語教育の現場に立つ教師の、日本語教授への積極的指導姿勢を引き出すことができたということが、現在までの成果である。また、ボイスサンプルを比較的簡単に作成することができるようにウェブサイトも作成した。また、デジタルツールを用いてボイスサンプルを作成することによって、教師と学習者双方がICTスキルを身につけることができるようになった。ボイスサンプルを作成するためには、フリーソフトウェア(Audacity)を使用し、簡単な操作であるが、録音のデジタル処理をし、編集するという過程が含まれる。これらはいずれも難しいことではないが、一定の手順を覚える必要があるので、それにともなってICTスキルが身に着くということになる。さらに、根本的なことであるが、音声と、聴いて理解するという認知の過程について、共分散構造分析の手法を用いてパスモデルを作成するということまで研究を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(2017‐2018)にボイスサンプルを教材として授業に取り入れるという提案を発表して以来、複数回にわたりワークショップというかたちで教師研修を実施することができた。初年度は、香港日本語教師会、カナダ(バンクーバー教師会、カルガリー南アルバータ教師会)、オーストラリア(国際交流基金シドニー日本文化センター)で実施したが、それに引き続き、昨年度(2018‐2019)は、カナダ(国際交流基金トロント日本文化センター)、甲南大学で実施した。実際に教材として使用しながら、海外での需要に合わせて改良しつつ、その成果を昨年度は国内、海外で、英語の口頭発表を含む計7回の発表をおこなうことができた。 その他、招待講演として、沖英会(沖縄県の英語教育を考える会)において、3月に、「日本語教育の現場における新しい教材」と題して、講演をおこなった。以上のようなワークショップ等を経て、現場でどのような教材が求められているかということも明らかにすることができた。それを踏まえて、この教材をリソース集というかたちで日本語教師が使用できるようにすることも含め、研究を実行している。また、日本語学習だけでなく、日本語母語話者の学生にも外国語のボイスサンプルを作成させるという実験もおこなった。その結果、同様に学習上の動機づけが上がることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の具体的な予定は以下の通りである。一部は、すでに実行済みである。 4月 口頭発表 Hawaii Association of Language Teachers(HALT)、5月 口頭発表 プリンストン大学日本語教育教授法研究会(PJPF)、6月 講演 日本実践英語音声学会第2回大会、招待講演 中部大学、7月 口頭発表 The Japanese Studies Association of Australia(JSAA)、研究集会 ボイスサンプルとナレーションの教材化について、8月 口頭発表 カナダ日本語教育振興会研究発表大会(CAJLE)、11月 口頭発表 The Japanese Studies Association of Canada(JSAC)、12月 招待講演 香港大学 また、最終年度であるので、ボイスサンプルを用いた教材の有効性をさらに明らかにできるようなデータをそろえ、それらをWeb上の教材として完成させる予定である。本研究についての報告書も出す予定である。また、すでに校正済みで公開を控えている論文もあり、口頭発表のプロシーディングスもあるが、さらに論文執筆もおこなう。
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Research Products
(12 results)