2018 Fiscal Year Research-status Report
複言語・複文化活動を通した学びの共同体の構築と有効性:外国語系学部と地域の協働
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17K02907
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 真美 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80300242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 博史 京都外国語大学, 国際貢献学部, 教授 (00124321)
河上 幸子 京都外国語大学, 国際貢献学部, 准教授 (30586730)
畑田 彩 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90600156)
島村 典子 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30724273)
中山 智子 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80434645)
村上 正行 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30351258)
梶川 裕司 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (40281498)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 複言語複文化コミュニケーション / インタビュー / アンケート / 協同学習 / グローカルな文化遺産の継承教育 / 地域貢献 / フィールドミュージアム活動 / 小学校での指導実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下のサブテーマにおいて、実践共同体におけるプロジェクトの実践及び効果の評価を試みた: 1)英語指導実践:教職志望の大学生が、近隣の小学校において英語活動に参加した際の活動記録や反省会の記録インタビューによって効果を検証し論文を執筆した。;2)中国語プロジェクト:ゼミの学生を対象に、協同学習の手法で中国語による街頭アンケートを実施した。アンケートの作成、翻訳、口頭練習、実践までの過程において、ミニッツペーパおよび振り返りシートを用いて教育効果を測定し、実践の改善点についても分析を加えた。;3)町おこし:福井県越前町熊谷地区等のフィールドミュージアム活動では、引き続き学芸員資格課程履修生、および公共政策ゼミ生が参加し、地域課題の解決に向けた活動を通した異文化コミュニケーション能力、課題解決能力の向上について視覚化を試みた。;4)地域高大連携:地元足羽高校中国語研究会学生と研究分担者が指導する学生、院生が高大共同で活動に参加し、リーダーシップ、サポーターシップ、協調性からその変化を観察した。;5)生態学:「昆虫食」をテーマに卒論を執筆していた学生とともに、東大阪大学で開催された「昆虫料理教室」に参加し広い視野で昆虫食をとらえた卒論を書くことができた。;6)文化遺産の継承教育:今年度もカナダ移民を資源化した地域再生事業をおこなう和歌山県美浜町三尾地区とカナダの日系人社会をつなげるグローカルな学生事業を展開した(例;トロントの日系文化会館、和歌山県人会との共催による日英二言語での動画の上映会、英語「語り部ジュニア」養成講座の合同企画、日系カナダ人のアテンド通訳) ;7)評価:本研究の評価を行うために、学習の動機付けやエンゲージメント、学習方略、異文化理解、ジェネリックスキル等を測定する質問紙を開発し、2019年度の実践での実施、分析の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実践を行うフィールドの開拓は進み整備されつつある。具体的な成果としては、卒論やその他の制作物、学会発表等で視覚化されてきている。生態学プロジェクトでは学外活動によって、学生のモチベーションや卒業論文の質の向上が確認され、特に、卒業論文に関しては、規定の16000文字をはるかに超える34000文字の秀逸な論文となった。英語指導に関するプロジェクトに関しては、新たな地域や教育機関が参入し学びのフィールドが拡大された。文化継承教育に関するプロジェクトでは、学生によるプロジェクトの実施にとどまらず、共通の課題意識をもつ国内外の関係者とのネットワークが広がりつつあり、発表の機会や共同研究の萌芽につながり始めている。 プロジェクトによっては継続的なテーマで実践に関わることができるフィールドの開拓ができた。中国語プロジェクトは、異なる中国語能力や文化的知識をもつ学生同士が学びの共同体を構築し、中国語による街頭アンケートを行ったことにより、他人と協同する力や中国語でのコミュニケーション能力の醸成に一定の効果があることが看取された。 各プロジェクトに参加した学生の学びの成果を、統一の指標での効果が検証していくため、プロジェクト間で共通に測ることができる系統だった評価方法を開発した。さらにプロジェクトによって働きかけた各共同体(児童、地域、受益者、連携者、当事者)に対しても、取り組みが与えた効果を系統的に検証するために、個々のフィールドに適した評価方法を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策として、引き続き各共同体において複言語活動プログラムの改善を試みながら実践を行いつつ、教育効果を測定する指標を用いて実践活動への参加学生の学び、及び共同体の変容について検証し、成果をまとめ報告する。また新たな形での学びの共同体の開拓可能性を探る。具体的には以下の方法で上記の方策を実現させる。 1)実践を進めつつ、包括する形での枠組み(学びの共同体の構築、学習成果の評価)を考える。その実践内容や過程を共有し合う機会を持ち、お互いに示唆を得る。;2)プロジェクトの効果を客観的にする指標として2018年度に開発された共通尺度を用いて、プロジェクトの効果を検証する。;3)実践参加経験が、参加学生、地域、児童の成長等、活動共同体に与えたインパクトなど、各活動に特化した活動効果を評価するために、コンセプトマップ、インタビューやフィールドノート、ルーブリック、アンケートなどを用いて質的なデータを収集し、分析を試みる。;4)複数の分野の教員と学生が既に開拓済みのフィールドや、既に有する資源や機会を生かして協働プロジェクトの可能性を検討し試みる(例:昨年度実施した高大連携現地活動を拡大し、参加の効果や域に与えた影響についての評価を試みる。また、多言語多文化共生を目指して外国語での絵本の読み聞かせプロジェクトを既に実施されているイベント等で試み、今後の活動方法を検討し、新たな活動共同体を開拓する);5)各実践活動の評価結果を、学内外の学会や研究会で発表し、論文や報告書にまとめる。
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Causes of Carryover |
先方の理由でイベントが実施できなかったことや、発表予定をしていた国際学会で発表が採択されなかったため次年度に海外出張が延期されたため。
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