2018 Fiscal Year Research-status Report
内発的動機づけを高めるアクティブラーニング型授業の開発と効果検証
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17K02912
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田中 博晃 近畿大学, 薬学部, 准教授 (80441575)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 内発的動機づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,学習者の内発的動機づけを高めるアクティブラーニング型授業の開発と効果検証である。具体的には,以下の3点が目的である。1) アクティブラーニング型授業での内発的動機づけを高める方略の考案,2) 内発的動機づけを高めるアクティブラーニング型授業の実践,3) 内発的動機づけを高めるアクティブラーニング型授業の効果検証,である。 研究計画の2年目である当該年度は研究目的の1)および2)を初年に続き実施した。初年はプレゼンテーション活動を中心にアクティブラーニングを実施したが,一方でプレゼンテーションの自宅学習は発表テーマに関するリサーチに偏り,自宅で英語を学習する時間を十分に担保できない問題点があった。家庭での英語学習時間を増やすには,プレゼンテーション以外の英語の課題などを出す方法もあるが,それではアクティブラーニングの中核概念である自主学習とは言えないだろう。そこで能動的学習の一環として,授業外でも学生が自主的に英語に触れる時間を増やすために,多読学習を行った。初年に実験的に行い,当該年度はその成果のとりまとめと次年度に向けてのデータ収集の準備を行った。 成果として,多読の利用が多かったのは5月で162件,次に7月の128件だった。5月と7月という学期はじめと学期終わりに利用が多いことが確認された。特に読書レポートは7月が最も多く,単位認定を意識してレポートを提出するという外発的動機づけに基づくものであった。一方,後期では全体の件数が少なくなり,最も利用件数が多かったのは10月で80件であった。しかしそれ以降は50件前後で推移しており,利用数が安定する傾向があった。外発的動機づけに基づく学生が減り,継続的に学習する習慣のついた学生が利用している可能性が考えられる。多読はアクティブラーニングの一環として,また動機づけ状態を測定する指標として有効である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,研究目的の1) アクティブラーニング型授業での内発的動機づけを高める方略の考案,2) 内発的動機づけを高めるアクティブラーニング型授業の実践,3) 内発的動機づけを高めるアクティブラーニング型授業の効果検証,の内,1)と2)を初年度に主に行い,3)を2年目以降で行う予定であった。2年目にあたる当該年度では,多読の実践と言う行動指標によって動機づけの状態を測定することができ,半ば実験的ではあるが,研究目的の3)を遂行することができた。よって,おおむね順調に推移していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
続く3年目以降では,より大規模にデータを収集しながら,アクティブラーニングが動機づけに及ぼす効果を検証していく。当初の予定通り,実験を行いながら,質的データを基に,方略や授業運営の問題点を修正し,効果検証を行う。初年度に実践したプレゼンテーションベースの方略に加えて,2年目に検証した多読学習という行動指標によって動機づけの高まりを検証する計画である。その際に個人差データも収集し,方略の効果を個人差変数ごとに検討も行う。また自由記述データと半構造化インタビューデータを収集し,M-GTAにて分析することで,内発的動機づけを高めるアクティブラーニング型授業の開発と修正を進めていく予定である。一連の実験研究は申請者が授業担当している近畿大学にて実施する。
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Causes of Carryover |
データ収集後の入力作業を外部委託せずに、研究者自身で行ったために大幅に人件費を節約することができたため。
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