2019 Fiscal Year Research-status Report
内発的動機づけを高めるアクティブラーニング型授業の開発と効果検証
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17K02912
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田中 博晃 近畿大学, 薬学部, 准教授 (80441575)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 内発的動機づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究(例えば,Jeno, Raaheim Kristensen, Kristensen, Hole, Haugl and Mæland, 2017)は,チーム基盤型学習の動機づけを高める効果を状況レベルの階層の動機づけのみで扱っており,他の階層の動機づけを検討していない。そこで,授業活動から英語授業や英語学習全般までの幅広い階層を扱える「外国語学習における動機づけの階層モデル」を用いて,アクティブラーニング型授業の内発的動機づけを高める効果を幅広く検討した。 調査協力者は大学1年生21名で,週2回の半期授業で全30回の内の9回を使って,ペアワーク,グループワーク,そしてプレゼンテーションを取り入れたアクティブラーニング型授業を行い,介入のプレとポストで調査協力者の内発的動機づけと自己決定理論が提示する3欲求の変化を測定した。 その結果,内発的動機づけは活動レベル(Mdiff = 0.47)と英語授業レベル(Mdiff = 0.76)では上昇がみられた。一方,特性レベル(Mdiff = 0.07)ではほとんど変化が見られなかった。自己決定理論が定める動機づけを高める要因である3欲求については,自律性(Mdiff = 1.30)が大きく上昇し,関係性(Mdiff = 0.21)も上昇が見られた。有能性については,過去準拠(Mdiff = 0.19)と課題準拠(Mdiff = 0.07)の両方の観点でほとんど変化が見られなかった。自由記述データを分析した結果,調査協力者は自分自身の学習を振り返り,今後の目標を自分で設定していたことから,自律性が満たされている結果が裏付けられた。一方,有能性の欲求については過去準拠と課題準拠の有能感に関する記述はやや見られたものの,全体的に顕著な傾向ではなく,これも量的研究の結果と一致するものだった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,実験データ収集の準備段階としての実験研究が行えた。おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は動機づけを高める方略の修正も行いながら,継続的なデータ収集を行う。ぜんざいの研究結果から,複数の動機づけを高める方略を組み焦ることで,自律性の欲求が大きく上昇したことが示された。そこで有能性の欲求に対しても肯定的フィードバックを加えた多様な働きかけを行う。学校教育現場では有能性の欲求が内発的動機づけに比較的大きな影響を及ぼすことから(田中,2009),有能性の欲求を満たすことで,特性レベルの動機づけも高められると考えられる。次年度は,この点を修正したうえで,さらなるデータ収集を行う計画である。
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Causes of Carryover |
国際学会に参加する予定であったが,新型コロナウィルス流行により出張の自粛要請が勤務校から出たため残額が生じた。次年度に別の学会に参加して研究資料の収集および成果発表を行う予定である。
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