2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K02957
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
松田 紀子 近畿大学, 総合社会学部, 講師 (40759007)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TTS(Text-To-Speech)合成音声 / 知覚学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本人英語学習者を対象とし、外国語学習、特に知覚学習という観点からTTS(Text-To-Speech)合成音声の有効性と可能性を明らかにしようとするものである。ディープラーニングの導入によって、音声合成技術はここ1、2年で人の声と区別がつかないほど進化しており、我々の日常生活のいたるところに浸透している。英語の音声インプットの絶対量が不足している日本人英語学習者にとって、TTS合成音声の英語学習への活用について研究する意義は大きいと考える。本研究はTTSを使用した、より効果的な外国語の学習・指導方法は何か、以下の6項目(学習者の①習熟度、②年齢、③学習期間、④自己関連づけ効果、⑤組み合わせるタスクの複雑さ、⑥声・性別・なまりの違い等の音声の特異性)について各種の実験を用いて調査することである。 平成29年度は、学習者の習熟度(①)と学習内容に関連する2つの要因(⑤⑥)による知覚学習への影響を探るために、先行研究を踏まえて実験用の刺激文を作成し、改訂した上で、パイロット調査の準備をしていた。しかし、研究代表者の勤務校の異動が決定し、実験用の機器等を再度購入する必要があり、実験再開の時期を考慮する必要が生じた。その間、長期的な学習効果(③)について単語単位のパイロット調査を実施し、内容を見直す作業を並行して行った。研究代表者が異動した勤務校で実験環境を整えるのに想定以上の時間を要したが、令和元年度はTTS合成音声を使用し、フレーズ単位の実験結果を発表した。同年度1月に実験準備を始めた矢先、新型コロナウィルス感染症対策の入構制限措置の実施等により、予定していた実験を実施できなくなった。さらに令和3年度に入って実験再開を予定していたが、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発令等に伴う入構制限措置が実施されたため、本研究の進捗は遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
科学研究費補助金にかかる本研究は、研究代表者の勤務校異動のために実験用の機器等を再度購入する必要が生じたこと、実験補助を依頼する学生の人選について一定の時間が必要であったことを要因として、実験環境整備に想定以上に時間を要した。そのため、本研究は令和元年度に期間延長を申請し、承認されている。新型コロナウィルス感染症への対策で大学が閉鎖され、入構制限措置がとられた令和2年度は、予定していた実験を一切実施できない状況となった。令和3年度も同様に、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発令等に伴う入構制限措置が実施されたため、実験を継続して行うことができず、令和2年度と令和3年度は引き続き期間延長を申請し、承認されている。令和4年度は引き続き新型コロナウィルス感染症への対策を講じながらではあるが、勤務校の状況に合わせて、時間が許す限り実験を実施し、外国語学習、特に知覚学習という観点からTTS(Text-To-Speech)合成音声の有効性と可能性を探り、効果的な学習・指導方法を提案したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は引き続き新型コロナウィルス感染症への対策を講じながらではあるが、勤務校の状況に合わせて、平成29年度から令和元年度に実施したパイロット実験の成果を踏まえた本実験を再開し、発表及び論文を執筆したいと考えている。
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Causes of Carryover |
令和2年度以降、新型コロナウィルス感染症対策の入構制限措置の実施等により、研究活動に支障が生じ、日本人英語学習者を対象とする本研究の実験の実施が困難であった。そのため、次年度使用額が生じている。研究用の物品の購入、実験への参加者に対する謝礼金及び本調査の実施後のデータ入力にかかる協力者への謝礼金及び学会における研究成果の発表の際に生ずる旅費等に使用する予定である。
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